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また、試作品を手に持って浮いてみたことで、思わぬ事実も判明しました。実に操作感が素直だったことです。「右に行きたい」と思えば素直に右に、「ホバリングしたい」と思ったら即座に停止する。そう思うことで私の手は、無意識にプロペラの傾きを調整していたというわけですね。ラジオコントロールで制御するのは難しくても、人間の感覚で操作するのは簡単だったのです。

そこで天啓がひらめいたんですよ。「これに椅子をつければ一人乗りのヘリコプターがつくれるんじゃないか」とね。そうなると俄然興味がそっちに向いてしまいましてね。農業用ヘリのことは脇に置いたまま有人ヘリの開発に向かってしまった(笑)。それが現在の『GEN H-4』のプロトタイプになったわけです。

自社工場にて。左に吊り下げられた青い機体が『GEN H-4』だ

逆にいえばこの時まで、私はヘリコプターをつくろうなんていささかも考えていなかったんです。だってそうでしょう、儲けるためにエンジン開発して、儲けるために農業用ヘリに参入したんです。「一人乗りヘリコプター」なんて、名前を聞くだけで儲かりそうもないものは最初から想定外ですよ(笑)。

── ゲン・コーポレーション代表取締役・柳澤源内さんの「源内」という名前は本名だという。そこで誰もが連想するのは、江戸時代の蘭学者・平賀源内だろう。

 平賀源内といえば竹とんぼの発明者ともいわれ、それは世界でも最初のプロペラだったという説がある。またフランスのモンゴルフィエ兄弟よりも早く熱気球の試作に成功していたともいわれる。このルネサンス的天才と同じ名前を持つ人物が、250年後の日本で一人乗りヘリコプターを研究開発することに、歴史の「大いなる意志」を感じてしまうのは、ひとり筆者だけではないはずだ。

 ともあれ柳澤源内さんは、まさに平賀源内にも似た少々の山っ気をもって『GEN H-4』の開発と、その社会的認知の向上のために積極的な行動を開始していくのである。──

(次週に続く)

諏訪 弘

1970年生まれ。広島県出身。大学卒業後、新聞社・出版社勤務などを経て、現在はフリーランスのライター・エディター兼カメラマン。PC・ビジネス系 をはじめ、エンタテインメントや書評関連などの仕事を多く手がける。

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