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柳澤さんが試作した農業用ヘリコプター。底部にプロペラが2つ見えるのは、プロペラそれぞれの反トルクを打ち消し合い、安定飛行を可能にするため。『GEN H-4』も同じプロペラ構造を持つ

ところがそのころ、農林水産省が農業用のラジコンヘリを購入しようとする農家に対して補助金を出すことを決定したんです。つまり農家の方にとっては、ぐっと買いやすくなった。すると多くのメーカーがビジネスチャンスを狙って参入してくるんですね。我が社のエンジンもずいぶんたくさんお買い上げくださいましたよ(笑)。

で、私はそれを見て思ったわけなんです。「このブームに乗り遅れてはいけない」とね(笑)。農業用ヘリとは文字通りのヘリコプターでね、私の目からするといろいろと改善の余地があった。ラジコンとはいっても操縦にはそれなりに慣れや技術が必要になる。小回りもしにくい。なによりプロペラがむき出しになっているので危ない。刃物が高速回転しているようなものですからね。実際、操作を誤って電線を切ったという事故はときどき起きていますし。

私はそこに、他のメーカーとは違う商機を見出したわけなんです。「今の農業用ヘリより高性能なものを、900万円を切るくらいの値段で出せるよう研究してみよう。きっと売れるぞ」とね。まあしかし、今となってはこの読みも微妙なところでしてね……(笑)。ブームに乗ってあれほどたくさんのメーカーが参入したのに、その後はもう撤退に次ぐ撤退でね。残っているのはヤマハさんだけですわ(笑)。

「米一俵くらい載せて飛べなくては駄目だろう」と思い設計

私が考えていた農業用ヘリは、通常のヘリコプターの形は取りません。「アダムスキー型」とか言うんでしたっけ? まさにUFOのような形をしている。プロペラは円盤の底部に装着し、なおかつその周囲を金属製のガードレールで覆う。これならプロペラ事故の危険性は大きく減らせます。なおかつ円盤型なので、本体には前も後ろもない。いちいち方向転換をせずとも、好きなように動かせるわけです。

で、さっそく試作品をつくってみました。ところがそれは私の思惑に反してコントロールが困難だったんです。今にして思えば、単純に重心の位置が悪かっただけなのですけれどね。私は「どうして思うように飛んでくれないんだろう。おかしいなあ」と思いながら試作機を両手で持ち上げて、プロペラを軽く回してみました。するとその瞬間、体が少し浮かぶ感覚があったのです。もっとも、これは当然といえば当然なのですね。私は「農業用ヘリだったら、最低でも米一俵くらい載せて飛べなくては駄目だろう」と思って、60kgまでの荷重に耐えられるように設計していましたから。

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