山本化学工業 競泳水着用素材「バイオラバースイム」(2) 石灰石から作る水着素材 「たこ焼きラバー」は海を渡る
(聞き手:長田 美穂=フリーライター)
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五輪の水着騒動が起きた時、「スピード社の競泳用水着『レーザー・レーサー』に対抗できる素材だ」と、社長が日本のスポーツメーカー3社に売り込み、にわかに注目を集めたのが山本化学工業だった。同社の本社を訪れると、いかにも大阪の下町にある町工場のようだった。が、その外観とは裏腹に、同社はユニークな発想で世界の市場を切り開いてきた。
山本富造社長の先祖は、江戸時代は能登の港から北海道や関西を回る北前船の回船問屋だった。先代社長(現会長)敬一氏が1938年に山本化学研究所を設立、戦後はゴムに着目し、国内原料で製造するゴムの研究に着手。新潟県で産出される原料と出合い、国内原料ゴムの実用化に成功する。これが元祖「バイオラバー」である。ちなみに同氏は、56年には消しゴム付き鉛筆を考案、特許を取得して、その存在を世界に広めたというアイデアマンである。そして85年に社長になった2代目富造氏は、積極的なトップ営業で、海外市場を拡大してきた。アウトドア用ウェットスーツでは9割のシェアを誇る同社のバイオラバーは、どのように生まれたのだろうか。
総合化学品会社の協力を得て9年かけて改良し、初代を完成

バイオラバーメディカルを手にする山本化学工業の山本富造社長
バイオラバーは、原油ではなく石灰石から作る特殊なゴムです。東証一部上場の総合化学品会社「電気化学工業」の持つ新潟県・黒姫山の鉱山から採れる石灰石から作るゴムチップを、当社の開発した技術で特殊加工しています。窒素ガス入りの発泡剤、反応促進剤をゴムに練り込み、0.02ミリの気泡に窒素ガスを封じ込める技術を確立しました。気泡は一つひとつがつながっていない独立気泡、いわゆるハニカム構造になっています。気泡がつながっていると水が入り込みますが、独立気泡なので水や汗が入らず、温かくて軽いゴム素材になります。
元々は、海女の潜水服の素材として、研究開発に着手しました。それが漁業用のみならず、レジャー用ウェットスーツへと市場を広げ、さらには水着用へと応用を重ねてきました。現在の水着用バイオラバーは、4世代目にあたります。
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