ログインが開発した包帯パンツ「志道(SIDO)」(1) 現場の職人の苦労を胸に刻む
(聞き手:荒川 龍=ルポライター)
「包帯パンツ」──商標登録申請中のその名称は、一度聞いたら忘れられない。世界で初めて包帯素材を使った紳士用下着。日本工業規格(JIS)の検査で、同じ綿95%・ポリエステル5%混紡の一般素材と比較して、約7倍の通気性を持つことが分かった。
2007年11月、独自ブランド「志道(SIDO)」の第一弾として、セレクトショップ大手のユナイテッドアローズで発売した。その優れた通気性と伸縮性が好評で、1枚3990円にもかかわらず、約2カ月間で660枚を販売。2008年1月から、東京・新宿伊勢丹本店でも販売している。約5年間かけて生まれたオンリーワンパンツ。その軌跡に埋もれた喜怒哀楽を追う。

ログインの野木志郎社長と、「志道(CIDO)」グレーのショートタイプ
約500枚もの試着
── 2002年の日韓共催サッカ―W杯の日本対ロシア戦。当時42歳の野木志郎は、ロシア側ゴールポスト裏側の席で観戦していた。大手下着メ―カ―のOEM生産などを手がける会社に勤務していたころだ。そして稲本潤一選手のゴールに、「人生で初めて涙が飛び出るような感動」を体験。試合後、彼は「世界で戦う男たちを応援するパンツを創りたい」という夢を抱く。その時点では雲をつかむような話だった。──
野木 まるで着けていないかのように動きやすく、しかも蒸れにくい。そんなパンツを作れれば、サッカ―選手などのアスリートが、競技に専念できて好成績を残せるんやないか。それは、きっと一般男性にも気に入ってもらえるはずや、と考えたんです。
まずは自分で、約2年の間に500枚は試着しました。海外ブランドのものは、日本人仕様に作られているんでしょうが、窮屈だったり、だぶつき感があって、どれもしっくりこない。はいた瞬間は伸縮性があっていいなと思ったものでも、通気性が悪く、少し汗をかくとベタついたりしてね。
ブリーフやトランクスをひと通りはき終えると、今度はマニアックなものに走りました。前が横開きではなくて上下に開くものや、Tバック系とか。ただ、自宅で試着する際は、奥さんの目がある。だから、シャワーを浴びる振りをして、浴室でこっそり試着ですよ。通気性も試すために温水シャワーを出したまま、鏡で見栄えなどをチェックしてると、浴室のドアが突然開いて、奥さんから「あなた、何してんの?」って、けげんな目で見られたこともありました。たぶん、新しいパンツを手元に隠しながら浴室に向かう時点で、既にぼくが挙動不審やったんでしょうね。
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