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つまりレーザーターンテーブルを成熟した商品とするためには、レコード会社ごとにまちまちな仕様、保管環境による差を柔軟に受け止められるようにする必要がある。かつレーザーのピックアップ部分をミクロン単位で制御しなくてはならない。もちろんロバート・ストッダード氏は、この問題を認識した上でレーザーターンテーブルの理論を完成させていました。しかし、残念ながら試作品は精度が不十分で、理論を十全に実現することができなかったのです。

レーザーターンテーブルを世に送り出すには、これらの問題をどうしても解決しなくてはなりませんでした。私は「世にあるレコードの90パーセント、欲を言えば95パーセントを問題なく再生できるまで市販しない」と決めて、研究を続けました。

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レーザーターンテーブルの複雑さをご理解いただくために、具体的にどのようにしてアナログレコードの音を拾うのか解説しましょう。

上の図を見てください。これはアナログレコードの音溝の断面図です。赤い線がレーザー光です。V字の谷部分に2本のレーザー光が当たっています。このレーザー光の反射を光半導体素子が受け止めて音に換える。レーザー光が2本あるのはステレオ再生に対応するためです。1本が右チャンネル、もう1本が左チャンネル。これが基本的な仕組みです。

V字の山部分、「ショルダー」とあるところには、同じく2本のレーザーが当たっています。これは音溝をトラッキングし、内側のレーザー光を正確に照射するためのもの。音飛びを防ぐための機能と考えてください。

破線で描かれているレーザー光はレコード盤の反りを事前にキャッチするためのもの。これでレーザー照射面の高さを自動制御し、レコード盤面との距離を常に一定に保ちます。前述の光半導体素子は、光をキャッチした位置から音程や音色を判断する。だから距離が一定でないとレーザー光の反射角度が変わってしまい、ひいては音色や音程を正しく再生できなくなってしまいます。

一般にレコードの音溝の幅は25~150ミクロン、深さは 12~75ミクロンくらい。そこに5本ものレーザー光を正確に照射しなくてはならない。またレコードは、保管状態が良好なものでも数ミリは反っているのが普通です。前述した「一定距離を保つ」ためには、この反りに沿うようにレーザー照射面を最大数ミリも上下させる 必要がある。それもレコードの回転にあわせてリアルタイムに、です。これらの要件を我が社のような超弱小企業が実現するのは本当に大変なことでした。

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