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会は大盛況でした。にもかかわらずパートナーの名乗りを挙げる会社はついに一社も出てきませんでした。彼らは判で押したように同じ理由を述べました。「今はもはやCDの時代だ」。「アナログレコードというメディアにはビジネスチャンスが見出せない」。「レーザーターンテーブルは製造に手間がかかりすぎる」。「採算性が悪い」と。

アナログレコードは、全世界に300億枚〜400億枚あると言われています。人類にとって大切な文化遺産です。レーザーターンテーブルが世に出なければ、いずれすべてのレコードは摩耗して、永遠に聴けなくなってしまう。これは大げさに言えば文化の損失です。私は音楽には疎い人間ですが、その程度の認識はあった。そこで「誰もやらないのなら、私がやってみよう」と決意したのです。

試作機の性能は高いものではなかった

── 千葉氏は「まずは権利関係をクリアにしておこう」と考え、開発者のロバート・ストッダード氏と交渉して特許を買い取った。また、レーザーターンテーブルのライセンス業務などを日本で行なうはずだった会社の株を取得し、オーナー社長に就任する。これらに要する資金はすべて個人資産で賄った。秋葉原の雑居ビルの一室で、レーザーターンテーブルを本格生産する研究を始めた。──

当初、私は「既にレーザーターンテーブルの基礎研究はできており、試作品も完成している。後は量産体制を整えるだけだ」と思っていました。ところが、それはとんでもない誤算でした。というのは、試作品は、音の再生率がすごく悪かったからです。まともに再生できるレコードは、100枚のうちせいぜい10枚くらい。残りは音飛びが激しかったり雑音がひどかったりと、およそ鑑賞に耐えるものではなかった。

そもそもアナログのレコードは、レーザー光で音をピックアップすることなんて想定していない。だから音溝の仕様に統一規格がない。さらにレコードは、熱や圧力で比較的簡単に反ってしまう。だから同じレコードであっても、家庭での保管環境によって大きな差が生じる。

レーザーターンテーブル内部。右上に見える黒いパーツがレーザーの部品だ。レーザーはこの部品の下から照射される。

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