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マツダ「デミオ」(2) 再設計〜1年間の作業を白紙に戻す

(聞き手:長田 美穂=フリーライター)

(前回記事はこちら

── 自動車の開発は、デザインを進めながら並行して、設計を進める。設計には、フレーム、エンジンやミッションなどパワートレイン関係の機械部分のほか、いかに製造するかの生産技術も絡んでくる。

 ところが水野は突然、ゼロからのやり直しを決めた。

 スポーツカーRX-7の後継車、RX-8のデザインなどを手がけてきたチーフデザイナーの前田育男から、要請があった。開発に着手して1年余、2004年12月末だった。──

最初に決定したデザインを元に、各部署で1年間、設計を進めてきたので、7割くらいまで出来上がっていました。そこへ前田が「やり直させてほしい」と言いに来た。

水野 成夫氏 デミオ開発のプロジェクトリーダー(主査)

進めていたデザインも、良かったんです。中途半端に良かった。ダメなら僕もそれで進めようとは思いません。だから、心のどこかで迷いながらも、全体のスケジュールを考える僕の立場からは、やり直そうとまでの決断はできなかった。

「絶対に良いものにするから」と言う前田の言葉に背中を押され、1時間ほど迷ってから、決断しました。

迷った1時間の間に何をしたかというと、みんなの1年間を白紙に戻すというこの決定を、開発メンバーの誰からどう伝えれば納得させられるか、を考えたんです。

「陣立て」と呼ぶ各部門の代表者20人と、主査である僕が、いつも話し合って方向性を決めています。それぞれがクルマの各部についての知識も経験も持ち合わせた、エンジニアとしての意地を持つ人間です。こうするから、ハイと言うことを聞く従順な人間じゃない。

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