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野球はサッカーにくらべ、国際的な広がりはぐっと落ちるが、一方で、日本と米国だけが市場としても、この2つで世界経済の半分以上を占めており、野球が広がる経済的なパイは十分にある。加えて、中国をはじめとするアジア+オセアニア市場に市場が広がれば、これまで相手にしてくれなかった日本のグローバル企業を振り向かせることもできよう。

そうすれば、大リーグも黙ってはいまい。実は、大リーグには幾度となく、野球の国際化を働きかけ、そのためにはサッカーのFIFAクラブワールドカップのような、クラブ単位の国際大会を開催するべきだと日本野球機構は訴えてきた。しかし答えはいつも、「国際化というコンセプトやよし。だが、ビジネスの観点でみれば、勝っても得にはならないし、負ければワールドシリーズの権威が損なわれるし、大リーグのメリットにならない」である。これがアジア市場全体を巻き込んだものに拡充するのであれば、話はまったく違ってくる。

WBC(ワールドベースボールクラシック)で証明された通り、日本プロ野球の実力は、疑いなく世界トップレベルにある。プロ野球を大リーグに負けない世界ブランドにすることは、決して不可能なことではないのだ。

戦略を実行に移せる体制・意思決定が肝

プロ野球を取り巻く環境は決して楽ではないが、潜在力は十分ある。切るべきカードもまだまだある。後は、こうした戦略を事業計画として具体化し、それを実行に移せる体制づくりである。実は、ここが最大の障壁だというのが日本プロ野球を知るものの間では有名な話なのだが、これもようやく解決に向かって動きつつある。

従来、日本プロ野球の組織体制は、12球団の合議制かつ3/4の賛成を必要とし、根来泰周コミッショナーが「風に吹かれる葦」と評したのが実に言い得て妙だが、身動き取れない体制だった。 これを競争社会にふさわしい迅速かつ正しい意思決定ができるようにするべく、またコミッショナーの機能を従来の「司法」から「行政」、さらには会社組織のCEOに近い機能を果たせるようにすべく、変革を進めている。

いずれにせよ、空洞化して名実ともに大リーグのファームと化すのが先か、世界と伍していく成長戦略を実現するのが先か。日本のプロ野球は時間との競争に入っている。

※文中のリンクは編集部が作成したものです。

「“ニッポン プロ野球”活性化の処方箋」は今回が最終回です。ご愛読ありがとうございました。バックナンバーはこちらです。

小林 至(こばやし・いたる)

江戸川大学社会学部教授(経営学)、福岡ソフトバンクホークス取締役、福岡ソフトバンクホークス・マーケティング取締役。著書に『合併、売却、新規参入。たかが・・・されどプロ野球!』(宝島社)『アメリカ人はバカなのか』(幻冬舎)など。

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