普及活動も、まだまだ不十分である。スポーツにとって普及活動は、企業における研究開発と同じく、大事なことだ。日本の製造業が世界最強なのは研究開発費が世界一であることが大きい。特に日本を筆頭に先進国では、子供の数が減っており、普及活動の充実は、世界中のスポーツ団体が躍起になっているところである。例えば、National Football Leagueは、132億円の基金を積み上げ、攻略に苦戦している日本での普及活動に力を入れている。子供版アメフト(フラッグフットボール)を開発して、授業で行うことを条件に、日本全国の小中学校に、用具、マニュアルを無料で配布。指導員も無料で派遣している。
対する日本の野球界は、野球が、自然と国民に親しまれ、かつ何をやろうにも、プロとアマがいがみあい、にっちもさっちもいかないという歴史的経緯ゆえ、太平天国の惰眠を貪ってきた。これを嘆息すればキリがないが、逆に言えば、取り組む余地は大きい。
例えば、選手が年俸の5%を拠出。これで約16億円。球団側が同額をマッチングすれば、計32億円。これを基金として、普及部を創設すれば、かなりのことはできる。都会においては、少子化の影響を逆手に取って、統廃合された小中学校の空いたグラウンドを利用することもできるだろうし、日本体育協会の「子供の居場所づくりに関する運営協議会」(※)と連携するなどすれば、活動はぐっと広がってくる。
※:文部科学省が2004年度から進めている「地域子ども教室推進事業」の委託を受けて、日本体育協会は、子どもたちの体験活動の拠点となる「地域子ども教室」を全国で展開している。
アジアシリーズをホーム&アウェイのトーナメント戦にする
こうした、地域に根差す形での国内での収益力の強化に励む一方で、本当の成長戦略は、国際化にこそある。いつでも「世界」が見られる今、人々は国内限定の戦いに満足しない。
そのためにどうするか。真のワールドシリーズ開催だ、といきなり米国に挑戦状を叩きつけるのも1つの手だろうが、まずはアジアから足場を固めるというのも妙手と思う。日本、韓国、台湾、中国の優勝球団によるアジアシリーズはまさにその狙いで始まった大会だが、これをより発展したカタチにしていく必要がある。
4チームで1試合ずつリーグ戦を行う現在の形式から、日本4、韓国2、台湾1、中国1、さらには豪州まで出場チームを広げ、大リーグで行われているプレーオフのような、ホーム&アウェイのトーナメント戦に発展させることができれば、成長著しい「アジア+オセアニア」を包括する大きな市場が舞台になる。
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