それにしても、米国も日本同様、自治体の財政状況は楽ではない。なのになぜ大リーグ球団がこんな好条件に浴することができるのかというと、1つに、そうでなければ球団は他の都市に移転してしまうという事情がある。実際、上記のシカゴ・ホワイトソックスは、「税金で専用球場を建ててもらえないのであれば、フロリダ州タンパに移転する」と公言し、揺さぶりを州と市にかけ続けたことが功を奏した。
だからと言って、日本でも同様のことができるとは思わない。日本は国土も狭く、中央集権の国である。米国のように、広大な国土に散らばる各都市が激しい競争を演じるという構図は考えにくい。また、移転をちらつかせるようなえげつない交渉は国民性にも合わないだろう。
楽天が球場から取り付けた「大リーグ型」契約
その一方で、Jリーグの誕生を契機に、地域のアイデンティティーとしてのプロ・スポーツの重要性が認められつつあるのも事実である。プロ野球においても、福岡ソフトバンクホークスの成功に触発され、北海道日本ハムファイターズが北海道に移転し、楽天ゴールデンイーグルスが仙台に本拠を構え、それぞれが街のシンボルとしての地位を固めつつある。
こうした中、新規参入の楽天が、県営宮城球場を借りるにあたって、年間5000万円の使用料を払えば後は原則、自由に使えるという、「大リーグ型」の契約を成就した。これは、最初にきちっと交渉すれば日本の自治体を説き伏せることも可能であることを示した例と言える。
ふと見渡せば、「自治体の協力が得られない…」と嘆いている球団もある一方、「プロ野球球団に来てほしい」と願う自治体も少なくない。おりしも、合併に端を発したプロ野球再編問題が浮上した2004年の騒動を経て、プロ野球の「存在」の大きさ、そしてプロ野球の財政状況が厳しいことが国民レベルで認知された。そんな今こそ、球場の運営方法や収益増のための可能性を模索する絶好の機会と言えるのではないか。
次回は、現状の枠組みから何ができるかを考えます。12月21日(木)に公開する予定です。第1回「“メジャーのファーム化”避けるヒントは敵にあり」、第2回「無料のテレビ放送に頼るモデルは立ちゆかない」もぜひお読みください。
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