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街のシンボルとなる「われらが球場」を作れないか?

2006年12月14日

(小林 至=江戸川大学社会学部教授)

『フィールド・オブ・ドリームズ』という映画を覚えているだろうか。ケヴィン・コスナー扮(ふん)するアイオワ州の農夫が、ある日「それを作れば、彼らは必ず来る=Build it and they will come」という天の声を聞く。最初は「それ」や「彼ら」が何のことか分からなかったのだが、「それ」とは野球場で、「彼ら」とは野球に人生を捧げた往年の名選手たちの霊だと悟り、自分のトウモロコシ畑をつぶして立派な野球場をこしらえると、本当に往年の名選手(の霊)がやってきて野球をするというファンタジー物語。1989年の大ヒット作品である。

この映画に触発されたわけではなかろうが、90年代以降、米国では、地方自治体が、「公費=税金」でプロ・スポーツ球団の専用球場を建設することが大きな潮流となった。

新たに建設された球場は、それまでの「多目的+人工芝+大容量=無機質なコンクリートお化け」から、小ぶりで瀟洒(しょうしゃ)な娯楽性溢れるエンターテインメント空間に大変身を遂げた。

遊技場、憩いの場、社交場…。なんでもありの「ボールパーク」

大リーグの球場が、その開放感とネオンに彩られた広告看板で非日常を演出している様子はテレビ画面でも感じ取ることができるが、実際に行くと、さまざまな遊びの仕掛けが用意されていることに驚く。

定番は、子供用には、バッティングセンターやピッチングセンターなど野球関連のもののみならず、ミニバスケット、パットパットゴルフ、ゲームセンター。最近では、デトロイト・タイガースの本拠地コメリカ・パークのようにミニ遊園地が設けられているケースも多い。その他、球場内の通路の柱のほとんどにニンテンドー64の端末が設けてあるエンジェルス・スタジアム、プールが設けられているバンクワン・ボールパーク(アリゾナ・ダイヤモンドバックスの本拠地)など、各球団、工夫を凝らしている。

大人向けには、居酒屋、バーベキュー場、ビアガーデンなどがある。また、さまざまな企業、団体の臨時ブースがそこかしこに並んでいる。婚礼相談、クレジットカードの加入募集、住宅ローンの相談所などあらゆるビジネスが展開されている。それも彩りだ。今年訪問した球場では、いずれも、時節柄だろう、選挙運動が展開されていた。候補者ののぼりを立てた派手なブースで、支持の署名と献金を訴えている。

「こんなところで、そんなことやっていいのですか?」と問うと、ショバ代を払えばいいんだよ、とのこと。なんでもありだ。

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