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パワーブロガーのもう1つの特徴は、逆説的ではあるが、普通の人であるということだ。今回お会いした方々は、いずれも一般的なビジネスパースンあるいは主婦であるとお見受けした。本業は別に持ちながら、あくまで趣味の延長としてブログを書いている。そして「ブログで儲けてやろう」とか「ブログで有名になってやろう」といった“不純な”押しの強さは感じられない。

今回の取材で、各ブロガーにブログを育てるコツをお聞きした。その答えは共通している。第1にテーマを明確にする(当然自分が好きなことになる)こと、第2に続けること、第3に読者視点で書くことだ。この条件を満たすことによって、普通の人のブログはパワーブログに成長していく。この点から考えると、誰もがパワーブロガーになる潜在的可能性を持っている。普通の人が、自分専用のメディアを持ち、数千人の読者に語りかけることが可能な時代になったのだ。

情報発信のインセンティブは表現することとつながること

ブログは気軽に書けるメディアである。サイトの維持管理の負担も少ない。だがそれでも、多数の読者の期待に応えるコンテンツを書き続けるのは容易ではない。この連載で紹介したパワーブロガーたちは、いずれもコンテンツの作成に相当な手間をかけている。例えば書評ブログ「マインドマップ的読書感想文」のsmooth氏は、毎日欠かさずブログを更新し、年間300本もの書評を書いている。彼らがそこまで情熱を注ぐ理由はなんだろうか。

ブログで、お金や名誉といった実利を追求しても報われることは少ない。彼らがブログを続ける理由もそこにはない。彼らパワーブロガーたちは、ブログによって、何か病みつきになるような精神的快感を得ているように感じられた。それは「表現すること」と「つながること」の快感だ。

彼らは、一様にこう語る。「誰にも指図されない自分だけのメディアを持てることは、何にも変えがたいものです」(大野課長)。「ブログを通じて、通常は知り合えない人と、コミュニケーションすることができます」(「サプリメントなんでも相談室」のサプリン氏や他のパワーブロガー各氏)。「ブロガー同士の交流は心の支えになります。ブログを読むとその人の価値観がよく分かります。だからリアルの友人より深く知り合っていると、感じることがあります」(staygold氏)。

人間にとって、自らのクリエイティビティを発揮することや、他者とのつながりを持つことは、根源的な欲求の1つである。ブログはこの欲求を充足してくれる。ここにブログの隆盛の秘密があると考えられる。

パワーブロガーは増殖し、市場にさらに大きな影響を与える

このように多くのブロガーは、金銭的実利ではなく、精神的満足を求めている。ここに、役立つコンテンツが無償で提供される土壌がある。これからもブログにはまる人は増え続け、パワーブロガーはあらゆる分野に増殖していくであろう。そしてブログコンテンツが豊かになればなるほど、ブログの読者は増加していく。こうして消費市場に対するブログの影響力は、ますます高まっていくのである。

桐原 涼(きりはら・りょう)

株式会社セレンディップ・ラボ シニアディレクター

経営コンサルタントとしての業務の傍ら、ネットメディアにて辛口の経営批評を展開している。ブログ「Critical eye for business —経営の視点/投資の視点—」を公開中。

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