パワーブロガーが消費市場のニューリーダーになる
(桐原 涼=フリーライター)
消費者主権の時代
今までビジネスの主役は企業であり、消費者は脇役であった。それぞれの分野でプロとアマの差があり、消費者は情報やノウハウの点で生産者に太刀打ちできなかった。だが現在、21世紀は「消費者主権の時代」と言われている。IT革命の進展によりプロが情報を独占できる時代は終わった。また市場における競争が厳しくなり、企業は消費者に選んでもらわなければ生き残れない環境になった。つまり生産者から消費者へのパワーシフトが進み、両者の力関係は逆転しつつあるのだ。
今や消費者は、消費市場の王様と呼ばれるようになった。われわれは、自分が“消費市場の主人”であることをしばしば実感する。例えばデジタル家電の価格下落が止まらないのは、あまたの企業が“王様”の気を引くために、厳しい競争を繰り広げているからだ。われわれ消費者は数多くの家電製品の中から、品質が高く、価格が安く、サービスのよいものを、選んで買うことができる。消費者の機嫌を損ねた企業は、ここで生き残ることはできない。この市場における消費者優位の構図は明らかだ。
消費者主権をもたらすパワーの源泉は情報である。ネットが普及した今、消費者はあらゆる情報にアクセスできる。企業と消費者の間の情報の非対称性は、消滅に向かいつつある。再び家電の分野で例を挙げよう。ここでは、「kakaku.com」など価格比較サイトの役割が大きい。消費者は「これはお買い得ですよ!」という販売店の声に対し、それが本当に安いのかどうか、自力で判断できる武器を持つことになった。
強い消費者と弱い消費者の狭間で
このようにわれわれは、多くの場面で、自分が強い消費者であることを実感できる。ところが空気清浄機のフィルターを切らしてしまったときはどうだろうか。あるいは家のリフォームを検討しているときはどうだろうか。「いったいどこで買えばよいのか」、「いったい何を買えばよいのか」と、困り果ててしまうことがあるだろう。これらの分野では、情報の非対称性が厳然として存在するのだ。
また情報は多ければよいというものでもない。われわれは、ダイレクトメールやチラシ、電話セールスなど、売り込み情報の洪水に悩まされている。よく考えてみると、われわれが得ている情報は、売り手の立場で書かれた「セルサイド情報(=売り込み情報)」ばかりだ。セルサイド情報は消費者にとって本当に役立つ情報ではないし、多くの場合、消費者を幻惑させる。セルサイド情報だけでは、強い消費者になることはできない。
売り手の立場で書かれたセルサイド情報に対して、買い手である消費者の立場で書かれた情報をバイサイド情報という。セルサイド情報が湯水のようにやってくるのに対して、バイサイド情報は苦労して探さないと見つからない。しかもわれわれの消費生活は多様な分野にまたがっている。例えば、家電を選ぶ、クレジットカードを選ぶ、投資信託を選ぶ、サプリメントを選ぶ、よい本を見つけるなど。それぞれの局面で、バイサイド情報による情報武装を行わないと、われわれは強い消費者、賢い消費者として振舞うことはできない。
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