校長という種族〜実は“営業所長代理”のサラリーマン
(藤原 和博=杉並区立和田中学校校長)
今回は、教育委員会と、生徒の目の前で授業を行う教員との橋渡し役ともいえる「校長」について解説する。
校長は、多くの人がイメージするような権威ある(偉そうな)仕事ではない。
全国の小中学校や高校に3万数千人配された校長は、トヨタやNTTドコモのような会社組織で言えば、営業所の所長。しかも実際には人事権と予算権がほとんどないから、営業所長代理程度の役割なのである。
200人の生徒で2億円の運営費
簡単に言って、小中学校の生徒1人にかかる公教育費は100万円だ。したがって、200人の生徒を預かる中学校の場合、年間での運営費総額は約2億円ということになる。そのうちの7割がたが教員の人件費である。和田中は現在300名の規模だが、200名程度だったときの経費の内訳が記録に残っているので紹介しよう。
人件費は校長の給料や講師への支払いも含め25人分の総額で1億7000万円ほど。委託料として給食調理で1600万円、施設管理で200万円。役務費として便所清掃に30万円、プールに5万円、クリーニング代に20万円。コピー用紙や教具などの消耗品費が850万円。ガス代150万円、水道代470万円、電気代300万円などであった。合計で、2億620万円。電話代は区でまとめているので判明せず。
したがって校長は、経済主体としては、2〜3億円の経費がかかる営業所を預かる営業所長代理なのである。
校長問題の本質に迫る前に、まず、教育委員会と学校をつなぐ役割としてより重要な教頭(東京都では副校長、以下教頭)と指導主事が機能不全を起こしている事実について触れる。教育界の悪弊が、人材をみすみす殺していることを見過ごしにはできないからだ。
文書に殺される教頭と指導主事
教頭と指導主事が“死んで”いる。教員として優秀だった人が、教頭や指導主事に昇格したとたん、膨大な文書処理業務にはまるのである。
教頭という仕事を3年以上すると、疲れ切って人柄が変わってしまうという。もともとは優秀な教員だったはずの人が、だ。
教育改革という名の下に日々量産される文書の山。文部科学省から来る、都道府県の教育委員会から来る、市区町村の教育委員会からも来る。給食の食材について、プールの安全確認について、性教育について、イジメについて、国旗国歌について、学力調査について・・・。答えなければならない調査類だけでも、小学校で年間に400本、中学校で200本ともいわれる。
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