市区町村の教育委員会の仕事
指導室というセクションの役割について述べる前に、教育委員会事務局の広範な仕事をざっと眺めてみよう。都道府県教委は高校の運営に責任を持ち、市区町村教委は幼稚園と小中学校の運営に責任を持つ。ここでは市区町村教委に話を絞る。
幼稚園、小学校、中学校の園児、児童、生徒の募集。東京では半数以上の自治体で学校希望(選択)制が始まったから募集事務は年々複雑になっている。教育相談、障害児教育、就学援助、特別支援教育などのサポート。教育センターや研究所を持ち、教職員の研修所や発達障害などの相談窓口としている自治体も多い。その他、給食のお世話から学校の適性配置(統廃合)まで検討事項は膨大だ。
学校施設は建ってから30年、40年と経過しているものが多く、日々いろいろな場所が壊れていく。そのスピーディな修繕も重要な仕事だ。校舎、校庭から、コンピュータルーム、プール、体育館。コンピュータルームがあれば、入れる機種の選定やネットワークの設定、プリンターは、使う紙はと細かい仕事が無数に発生する。
イチョウの木のてっぺん付近にカラスが巣を作り子ども達を威嚇する事件があれば、木に登って巣を取り除く。学校の広い敷地の緑も教育委員会と学校が維持している。だから、その木の枝の一部が民家にかかって「枯れ葉が落ちてきて困る!」というクレームがあれば、慌てて枝を切りにいく。
学校教育のほか、社会教育関連の仕事もある。図書館や科学館、児童館、文化ホールの運営。学校施設を放課後、夜間、休日に解放し利用者団体協議会に貸し出すこと。文化財の保護やスポーツ・文化の振興も「生涯学習」世代の拡大とともに重要度を増した。
ハードではなく、ソフトを扱う指導室
教育委員会事務局の仕事の多くは、このように学校の環境を良くし、入学に伴う事務処理を円滑にし、校舎を維持し、教科書や教具を整備し、通常の学校システムでは支えきれない人々のサポートを行うもの。
これに対して、教育委員会事務局にある「指導室」というセクションが教育の質そのものにかかわる仕事を担っている。地方によっては「学校教育課」ということもある。
すなわち、教員の人事と教え方そのものの指導である。学校のハードではなく、ソフトよりの物事を扱う。イジメや事件についての情報も、各学校から指導室が集約し、必要なら指示を与える。
IT教育の方向性、総合学習の研究、指導力不足教員の指導、教員や校長の研修、指導要領に沿った各学校の教育課程編成上のチェック・・・。現場の教育の質の管理が一手に委ねられる。ここにいるのは、市区町村の行政職員と都道府県に本籍のある指導主事という2つの種族だ。人事は学校の設置者である市区町村の行政職員が扱うが、教務の指導は指導主事の仕事だ。そして、その指導主事も例外ではなく、文書業務の嵐の中で機能低下を起こしているのである。
次回は、「校長の仕事」について取り上げます。12月13日(水)に公開する予定です。第1回「なぜ教員は忙しいのか?」はこちら。
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