J-SOXをはじめとする規制強化は、構造改革に対する官の巻き返し
ベンチャー企業誕生ラッシュと株式市場拡大という2つのバブルはなぜ起きたのか? そもそも、どちらも政府の大幅な規制緩和策が生み出したものだ。90年代に入って低迷した日本経済を立て直すため、政府は金融ビッグバン構想を打ち上げた。金融市場では、上場基準が緩い新興企業市場を創設した。証券取引法の改正によりオンライン証券が誕生。手数料の劇的な引き下げで、個人が株式投資に参加するハードルが低くなった。
しかし、規制緩和の網をかいくぐる粉飾決算など、一連の不祥事が発生。これを契機に、逆方向、すなわち規制強化への巻き戻しが起こる。J-SOXも規制強化路線の一つ。耐震偽装問題を契機に改正された建築基準法も同様だ。
もちろん、決算を粉飾した企業は処罰する必要がある。投資家を欺く企業は市場から退場すべきだ。だが、法務体制をきちんと整備している企業と、そうでない企業を区別することなく、“事前規制”するのは合理的ではないと考える。J-SOXの意義を疑問視する声や、コスト増を嘆く声が企業から上がるのも無理はない。
J-SOXは、「規制を緩めると悪いことが起こる」――そんな国民の不安を逆手にとった規制に見える。「官から民へ」をうたった構造改革の目的は、いわば「公務員減らし」だった。立場が危うくなった官(公務員)が、規制強化で反撃してきたというのが私の見方だ。規制あるところに、官僚あり。J-SOXがうたう「投資家保護」は、建前上の目的にすぎないのではないか。
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