── 人的な不正リスクを見据え、広い意味での内部統制が機能すれば、長期的に見て不正はなくなっていくのか。
甘粕 冒頭で述べたように「人は過ちを犯す」。この事実は、変わることはない。よって、不正リスクはなくならない。これを前提に、どれだけ抑止力を高めることができるかが問われる。その取り組みの一つが内部統制というわけだ。
不正の数を“不正が発覚する数”ととらえるなら、むしろ増えるかもしれない。不正の発覚数が増えたほうが健全という考え方もできる。
幾多の不祥事の例から分かるように、ただの不祥事よりも、隠蔽が明るみに出たときの方が、より深く企業イメージが傷つく。消費者や株主が企業を見る目も厳しくなる。不正が発覚した時点で、隠蔽せず、迅速に公表する企業が増えるのではないか。不正のディスクロージャーが進めば、問題が根深くなる前に、不正に対する改善策を講じるサイクルも期待できる。
「内部統制」で、不正に対するトップの責任が明らかになったことも大きなポイントだ。J-SOXが定める「内部統制報告制度」では、経営者は自社の内部統制について自ら評価・認証しなければならない。不正が起こるということは、経営者が評価・認証した内部統制システムに不備があったということ。部下が起こした不正に対し、「現場がやったことで、知らなかった」と経営者が言い逃れることはできなくなる。適切な統制環境をつくるうえで、トップや管理部門にいい意味でプレッシャーがかかるのではないか。
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