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J-SOXは“外部統制”にすぎない〜秋山 進氏

2008年4月1日

(聞き手:大沢 玲子=フリーライター)

 「J-SOXは、内部統制の『序』の段階。言ってみれば、外から決められたルールに従う“外部統制”にすぎない」。ジュリアーニ・コンプライアンス・ジャパンの秋山進氏はこう指摘する。同社は、産業再生機構の執行役員を務めた片山龍太郎氏が率いるコンサルティング会社。内部統制やコンプライアンス体制づくりを手がけている。秋山氏は、カネボウ化粧品の再建に際し、コンプライアンスおよびリスク管理の体制構築・運用をリードした人物だ。

 秋山氏は「企業が、グローバルな市場で生き残っていくには、“真の内部統制”のステージに上がることが必須」と訴える。将来を見据えた内部統制のあり方について聞いた。

── J-SOXがスタートしました。といっても、企業によってレベルはさまざま。作業負担の大きさを嘆く声も聞かれました。

秋山 進(あきやま・すすむ)
ジュリアーニ・コンプライアンス・ジャパン
マネージングディレクター
京都大学経済学部卒業。リクルートを経て、独立コンサルタントとして企業理念・企業行動指針・個人行動規範などの作成、コンプライアンス教育に従事。産業再生機構の下で再建中であったカネボウ化粧品のチーフ・コンプライアンス・オフィサー代行として、コンプライアンスやリスク管理の体勢構築・運用を手がけた。2006年11月より現職。著書に『社長! それは「法律」問題です』『これって違法ですか?』(共著:日本経済新聞者刊行)などがある。

秋山 上場企業として立つ土俵(市場)は同じですが、企業ごとに歴史や規模が異なり、置かれているステージもさまざまです。本来、フォーカスするべき内部統制の問題も、それぞれ異なるものだと思います。

例えば上場したてのベンチャー企業の場合、社長のお金と会社のお金が区別できていないケースがある。起案や承認のプロセスに不備がある企業も多いでしょう。急成長を遂げて上場した企業も、信頼できる財務データを出すレベルに達しているか怪しい。無理に数字を合わせているケースも多いのではないでしょうか。こうした成熟度が低い企業は、まず「財務報告の信頼性」をうたうJ-SOXに対応した仕組みづくりが肝要です。

では、歴史が古く、経理部門がしっかりしている大企業はどうか。業務のフローチャートづくりなど、内部統制に伴う「文書化」作業は、いまさら不要かもしれません。こうした名門企業の場合は、数字よりもコンプライアンスに問題があることが多い。古くからの商慣習と法律がマッチしていない。あるいは、新規事業、海外事業などで失敗したものを隠蔽している。粉飾決算を隠し続けているケースがあるのも、一連の不祥事から分かることです。

上場企業は、信頼性のある数字を出すことが、まずは最低限必要なこと。そこをクリアしたら、自社の状況をかんがみた内部統制のあり方を考えるべきです。

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