そう考えて探すと、現在米国内には、原子炉技術者が余りつつある分野が存在する。海軍向けの原子力潜水艦関連だ。
現在米国は、「オハイオ級」「ロサンゼルス級」「シーウルフ級」「ヴァージニア級」という4種類の原子力潜水艦を保有している。その建造ペースを見ていくと、冷戦時代には攻撃型原潜のロサンゼルス級を1976年から1996年にかけて62隻も建造しているのに対し、後継艦であるシーウルフ級は、コスト高が米議会で問題になったこともあり、1995年以降3隻を建造しただけである。あまりに高価だったシーウルフ級に代わって開発されたヴァージニア級も、当面は2006年以降、年1~2隻を調達し、最終的に30隻で生産を終了することになっている。
一方、核ミサイルを搭載する戦略型のオハイオ級は、1981年以降18隻が建造された。後継艦の計画はなく、今後既存艦を改装して近代化を行う。
冷戦時代に急速ピッチの建艦で潤った米国の原子力潜水艦産業は、今後、年1~2隻のヴァージニア級建造と、オハイオ級の改装でやっていかなくてはならない。新規開発アイテムとして開発予算を産業にもたらしたヴァージニア級も、すでに建造フェーズへと移行した。その後は新たな開発計画もない。
メーカーとしてはリストラで収益構造を維持するしかないが、ここで問題になるのが原子力技術者の処遇だ。潜水艦用の原子炉技術となれば、欲しい国は多い。うっかり技術者をリストラしてしまえば、好待遇を餌に、様々な国が引き抜きにかかるだろう。米国にすれば、安全保障の観点から、原子力技術者に仕事を与えて、抱え込む必要がある。
米国は日本の資金が目当て?
このように考えてくると、宇宙用原子炉が、原子力潜水艦用原子炉の開発に従事していた技術者を雇用するのに好適であることが分かる。舶用原子炉が、そのまま宇宙用に転用できるわけではない。しかし発電用に比べ小型の舶用原子炉のノウハウは、軽量化が必須の宇宙用原子炉と技術的に通じる部分もある。
日本の原子力産業は、基本的に米国から技術導入した発電所用原子炉を生産している。舶用原子炉の経験は、失敗に終わった原子力船「むつ」以降、ない。
next:宇宙用原子炉で日米が協力するとなると…
(全 6 ページ中 3 ページ目を表示)
あなたのご意見をコメントやトラックバックでお寄せください
この連載のバックナンバー バックナンバー一覧へ 画面先頭に戻る
- 第5回 慎重に考えるべき米ロとの国際協力 (2005/11/25)
- 第4回 古い信頼性基準が生む日本の宇宙開発の高コスト構造 (2005/11/22)
- 第3回 運用予算で日本の宇宙開発は破綻か (2005/11/18)
- 第2回 打ち上げられても無用の負担となる可能性あり (2005/11/16)
- 第1回 打ち上げはスペースシャトルの運行回数次第 (2005/11/11)

