太陽電池と蓄電池という組み合わせも考えられるが、夜間の極低温でも動作する電池の開発はかなり困難であろうし、必要な資材をすべて地球から持っていくとなると、装置全体の質量も問題となる。
ところが、基地を月の両極地方に建設すると、原子炉は不要となる。月の両極では、地形にもよるが、地平線方向から常に太陽光があたる。太陽電池パドルを高くかかげれば、いつでも太陽光エネルギーで発電が可能になる。
ただし、地球から月に向って、極地方へ着陸するには、赤道付近に着陸するよりも余分なエネルギーが必要になる。
月の両極地方には、クレーターの底に永遠に太陽光の当たらない永久影地域が存在する。そこには、過去数億年の間に月面に衝突した彗星が残した水が氷の形で存在するという学説がある。この説が実証されれば、がぜん有人基地を極地方に建設する案が有力となる。水を基地の維持に使用できるからだ。
本当に水が存在するかどうかは、今後の無人探査機の探査によって判明するだろう。
技術的に詰めて考えていくと、米国にとって宇宙用原子炉は、必要不可欠な要素というよりは、今後の探査の推移によっては必要になるかも知れない、オプション的なものであることが分かる。
米国では原子力潜水艦用原子炉の技術者が余っている
にもかかわらず、米国が宇宙用原子炉開発で日本との協力を考えているなら、その理由は技術的なものではなく、政治的、産業的なものであろう。
技術の開発には技術者が必要だ。そして技術者はすぐには養成できない。新たに宇宙用原子炉を開発するならば、どこか既存産業から原子炉技術者をスカウトしなくてはならない。
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