慎重に考えるべき米ロとの国際協力
国際宇宙ステーション(ISS)計画、さらにその後の米国の新有人月探査計画を巡り、国際協力の話が動きだしている。
10月19日、米国の宇宙開発専門ニュースページSpacerefは、米航空宇宙局(NASA)が、新有人月探査で月面に設置する宇宙用原子炉を日本と共同開発することを検討していると報じた(記事)。
また、ロシアは10月半ばに宇宙航空研究開発機構(JAXA)に、現行の「ソユーズ」有人宇宙船の後継機となる宇宙船「クリーペル」開発への参加を打診してきた。米国、ロシア共に、ISSとその後を見越した国際的な協力体制を構築し、より有利な立場に立とうとしている。
日本はこれらの国際協力にどのような態度で臨むべきなのか――状況を検討していくと、どう振る舞っても、日本はこれらの国際協力案件から十分な成果を上げるポジションを得ることができないであろうことが見えてくる。米国との宇宙原子炉における協力は、基本的にはするべきではないし、ロシアとのクリーペル開発での協力では、十分な準備と信頼感醸成が必要になる。
有人月探査にとって、宇宙用原子炉はオプション
言うまでもないが、国際協力は「協力さえすれば、両国とも得をする」というような甘いものではない。「いかにして自分の利益を最大にしてパートナーの利益を最小にするか」「計画が傾いた時に、いかに相手にジョーカーを押しつけるか」といった駆け引きが交錯する。「誠意を持って対応すれば道は開ける」という認識では、いいように利用されて終わる結果となる。
従って国際協力においては、「何が相手にとっての利益最大か」という意図を読み取ることが必要になる。
まず、米国が有人月探査のために原子炉を開発する理由を考えてみよう。
月面は2週間の昼と2週間の夜が交代する世界だ。空気が存在しないので、昼間は温度が上昇し、夜間は大きく冷え込む。このためアポロ計画では、夜明けに着陸し、温度が上がりきる前に月面から帰還するという方法で昼夜の温度差を避けた。新有人月探査計画では、将来的には恒久的な月面基地を建設するとしている。
恒久的な月面基地には夜間の暖房と昼間の冷房のために、エネルギー源として宇宙用原子炉が必要になる。
next:太陽電池と蓄電池という組み合わせも…
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