緊急時の救難機を用意すれば、飛行間隔は延びてしまう
しかし、「コロンビア」空中分解事故後に、NASAが採用した安全性向上策を考慮に入れると、そうも言っておられなくなる。
まずNASAは、1機のオービターが飛行している間、別の1機を緊急時の救難用に地上で待機させることにした。つまり打ち上げから次の打ち上げまでのサイクルに、別の機体が飛行している時の救難機として準備を行い待機する時間が割り込むことになる。
宇宙から帰還したオービターは、(1)機体の点検整備、(2)次回飛行のためのペイロードを搭載、(3)次の打ち上げというサイクルを経る。それが、(1)機体の点検整備、(2)救難機としてのペイロード搭載、(3)救難機として待機、(4)救難ペイロードをおろして次回飛行のためのペイロード搭載、(5)次の打ち上げ――と手間が増える。
オービターのどれか1機を救難専用として、常に救難用ペイロードを搭載して待機させておくことで、救難ペイロードを積んで降ろす手間を省くことも考えられる。しかしオービターのどれかに予想以上に整備に時間がかかるトラブルが発生した場合のことを考えると、できるだけオービターを均等に使い回したい。
救難機の役割を務め、救難用ペイロードを降ろして次の打ち上げのためのペイロードを搭載するのに必要な時間は不明だ。ただし、米国は過去に63日間隔で同一のオービターを打ち上げたことがある(1984年のSTS-41BとSTS-41C。機体は「チャレンジャー」)。どうやらペイロードの換装は、やろうと思えば2カ月程度で可能なようだ。
しかし、NASAがシャトル運航に全力を挙げていた1984年と、2010年引退が決定し、運行コスト削減のために整備の主体を民間企業にアウトソーシングしている現状とでは、現場の体勢が異なる。 いいところ、5割増しの90日程度はかかると考えるのが妥当だろう。
すると打ち上げから次の打ち上げまでの間隔は約9カ月となる。ぎりぎりで52カ月間に18回打ち上げられるということだ。
おそらくNASAの「18回打ち上げ」の根拠は、このあたりにあるのではないだろうか。
夜間の打ち上げは禁止された
さらにNASAは、7月の「ディスカバリー」打ち上げにあたって、夜間打ち上げおよび視程の悪い天候時の打ち上げを禁止した。コロンビアの事故は、打ち上げ中に外部タンクから剥離した断熱材が左の翼前縁部に衝突して破損させたことが原因だった。地上からの目視で打ち上げ時に断熱材の剥離を監視するためである。
ISSにドッキングするための打ち上げ時刻は、毎日ずれていく。だいたい一カ月間隔で昼間の打ち上げと夜間の打ち上げが交代する。つまり夜間打ち上げを禁止すると、年の半分は打ち上げができなくなる。
また、地上その他からの監視をきびしくすることで、今までは気が付かなかったトラブルが発見され、改修のために打ち上げが中断することも考えられる。実際、今年7月の「ディスカバリー」打ち上げでは、外部タンクに新たに装着した監視カメラが、巨大な断熱材破片が剥離するのを捉えた。このため次回の打ち上げは今年9月から来年5月へと延期されている。
next:6カ月間隔の飛行も、無理なスケジュールだった…
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