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宙に浮いた形になってしまった西武グループが苦肉の策として考え出したのが、サーベラスや日興プリンシパルを引受先とする増資案なのではないかと言われている。

堤猶二氏はこうした見方に対して「西武グループが進めるスポンサー選定のプロセスは非常に不明瞭だ。安い株価で増資するのも、苦肉の策で増資引受先を選んだからではないだろうか」と感想を漏らす。

いっぽう西武鉄道広報担当者は、「事実無根だ」とこれに反論する。

「今回の再建で和田さんは関係ない。スポンサーは広く公募し、株の評価額よりも再建案の中身で選定した。選定過程では、西武グループ内の銀行出身者はすべて排除した。後藤社長も最終段階でしかかかわっていない。公募には30社ぐらいが集まった。まず5社を選び、その中から最も提案内容のよいものを選んだ」(関根正裕広報部長)

さらに続けていう。

「30社の中には西武をばら売りするようなものもたくさんあった。サーベラスの提案はずば抜けて優れていて、満場一致で支持された。猶ニ氏の案と大きな開きがあるのは、企業に対する評価の違い。評価会社によると、コクド株の評価額は100数十億円から500億円、西武鉄道株は600円から800円。サーベラスの評価は、むしろかなり高いものだと思います。猶ニさんたちの評価は、経営内容を精査しているわけではないから正確なものではない。彼らの案に乗らなかったのは、言われているような金額を出すという確約がもらえなかったからだ」(同)

再建策はすでに動き出している。1600億円の増資は実行された。

暴力団との関係を指摘されているサーベラスから送られた役員は、事実関係を否定しながらも就任辞退を申し入れた。

真っ向から対立する西武グループ経営陣と創業者一族。両者の間にある深い溝はいったい何を意味しているのか。企業再生の必要性を強調する経営陣、株主の権利を主張する創業者一族、果たして西武グループは今後どうなっていくのか。

「西武帝国の興亡〜会社は株主のものか」は今回が最終回です。ご愛読、ありがとうございました。

松崎 隆司(まつざき・たかし)

経済ジャーナリスト

中央大学法学部を卒業後、経済誌の出版社に入社。経済誌の記者やM&A専門誌の編集長などを経て1999年独立。経営論から人事、M&Aなど経済全般について取材を進めている。

主な著書
「会社破綻の現場」(講談社)
「闘う経営者」(実業之日本社)
「商売のしくみとしきたり」(日本実業出版社)
「教養として知っておきたい『昭和』の名経営者」(三笠書房)

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