このページの本文へ
ここから本文です

野村監督の選手育成手腕に期待

ここで気になるのは、選手の補強費の問題だ。素晴らしい選手たちが入団し、彼らの活躍で楽天イーグルスの強さが増し、人気がさらに高まったとしよう。しかし、彼らに支払う年俸は増えこそすれ減ることはない。となれば、「赤字体質からの脱却は、チームが強くなるほど難しい」という理屈にもつながっていくのではないか。実際、「人気プレーヤーの年俸高騰によってチームが経営難に」との話題は、日本プロ野球に限らず、世界中のプロスポーツ界で聞かれる問題である。

「確かにレギュラー選手全員がみな高給取り、という状態になれば、人件費は毎年膨大なものになります。ですが、来季からお願いした監督は野村さんです。ヤクルトスワローズなどで実績を上げ、『野村再生工場』の異名まで持っている方です。若手の育成にも非常に定評があります。経営者としては、野村さんのそうした手腕にも大いに期待しているんですよ」。

よく言われる話だが、米メジャーリーグのニューヨーク・ヤンキースや、日本の読売ジャイアンツのように、他チームの主力選手を多数引っ張ってきてチームに仕立て上げたなら、選手の年俸だけで巨額のコストを抱えることになる。ヤンキースや巨人のような人気球団で、興行成績もよく資金も豊富なトップチームなればこそ成立する手法と言える。

新球団の楽天イーグルスは、デビューイヤーで目覚ましい人気を得た。だが、まだまだこれらトップチームの水準には達していない。数年間に数十億という大規模な投資をするにせよ、こうしたチームと肩を並べる規模にすぐになれるわけでもない。島田氏はそうした状況を冷静に判断している。だからこそ、無名選手や若手を巧みに育成し、才能を引き出した実績を持つ指揮官を立てたのだ。

「赤字が当たり前」との認識が定着していたプロ野球界に登場した新チームは、今年「初年度黒字」という偉業を達成した。だが、ご祝儀相場も薄れる来季からが本当の正念場。ベンチャー企業「楽天野球団」の立ち上げは、まだ途上にある。いや、来季こそ経営力が試される起業の元年と呼べるのかもしれない。はたして目標とする「強さ」と「感動」を楽天イーグルスは来季実現できるだろうか。優勝争いとはまた違った視点で、2006年の楽天イーグルスの行方を楽しもうではないか。

「楽天イーグルス立ち上げ奮闘記」は、今回が最終回です。長い間のご愛読、ありがとうございました。

森川 直樹

立教大学経済学部卒業後、フジサンケイグループ、講談社グループを経て独立。ビジネス誌を中心に活動しつつ、一般誌、女性誌でも幅広いジャンルを手がけている。

(全 4 ページ中 4 ページ目を表示)

あなたのご意見をコメントやトラックバックでお寄せください

記事検索 オプション

日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。

ご案内 nikkei BPnetでは、Internet Explorer 6以降、 Safari 2以降、Opera 8以降、Netscape 8.1以降またはHTML 4.01/CSS level 1, 2をサポートしたWebブラウザでの閲覧をお勧めしております。このメッセージが表示されているサポート外のブラウザをご利用の方も、できる限り本文を読めるように配慮していますが、表示される画面デザインや動作が異なったり、画面が乱れたりする場合があります。あらかじめご了承ください。

本文へ戻る