このページの本文へ
ここから本文です

「今期、最も感動した瞬間は…」 楽天野球団 島田亨社長

2005年10月3日

プロ球団のビジネスとは、どんな収入源から成り立っているのだろうか。大きく分ければ以下の五つが挙げられる。広告収入、入場料収入、テレビ放映権収入、ファンクラブ収入、関連グッズ販売収入。いっぽうコストは、球場を保有・維持する経費、「愛されるチーム」として全国区の人気を得るための広告宣伝費、「強いチーム」になるための戦力補強費を含む選手・監督への人件費などだ。

昨今メディアでは「球団経営を困難にしている理由」の代表格として「選手の年俸の高騰」が頻繁に取り上げられる。プロ野球全体の人気が頭打ちだというのに、トップクラスの選手を獲得・維持しようと思ったら億単位のお金がかかってしまう。試合で年俸に見合う活躍をして、球団の収入増につながる貢献をしてくれればいいが、そうなる保証はどこにもない。

しかも野茂英雄選手やイチロー選手の成功以来、トップ・プレーヤー、つまり観客増をもたらすような選手の多くが米国メジャーリーグへ移籍している。「せっかく時間と手間とお金をかけてスターに育てても、元を取る前にメジャーリーグへ行かれてしまう」(某球団関係者)という声も聞こえてくる。本当にそうなのか?

島田氏はノーと断言した。「まるで、お金が欲しいから選手が米国へ行っているかのような話をする人がいますけれど、現実をちゃんと見たらそうじゃないことはすぐに分かります。日本に残った方がたくさんお金をもらえたはずなのに、それでもメジャーリーグを目指した選手がたくさんいます。『年俸が下がってもメジャーに挑戦したい』と望んでいる選手も大勢います」。

島田社長は「満足」がキーワードなのだという。人は現状に満足をしていないときに新天地を求める。「日本ではトップクラスの評価を得たが、本場米国でも通用する力があるのだろうか? 自分の実力を試してみたい」というピュアな向上心が現状不満を招く。

「今のチームの人間関係など環境の悪さが邪魔して、自分は本来の力が出し切れないでいる。だからよそへ行きたい」という不満を抱える選手もいるはずだという。まるでビジネスパーソンの転職についての話題のように感じられるが、そもそも野球選手もビジネスパーソンもこうした心理面では違わないのかもしれない。

「スポーツ・ビジネスの原点は、結局のところファンとプレーヤーとフロント(球団サイド)の三者がいかに満足を得ていけるかにかかっていると考えています。今までの日本のプロ野球界は三者が皆バラバラの視点でものを見ていたように感じます。これをなんとか同じ視点へと変えていく改革をしなければいけない。そう思うんです。まあ、1年やそこらで変えられるような問題ではないし、じっくり取り組むしかない。僕よりもむしろ三木谷オーナーやプロ野球組織を統治する側が、この問題に正面から取り組まなければいけない立場にあります。僕たち球団職員は、改革につながるトリガー(引き金)になろうと考え、志しているんです」。

next: 観客は席を立たなかった

(全 2 ページ中 1 ページ目を表示)

あなたのご意見をコメントやトラックバックでお寄せください

記事検索 オプション

日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。

ご案内 nikkei BPnetでは、Internet Explorer 6以降、 Safari 2以降、Opera 8以降、Netscape 8.1以降またはHTML 4.01/CSS level 1, 2をサポートしたWebブラウザでの閲覧をお勧めしております。このメッセージが表示されているサポート外のブラウザをご利用の方も、できる限り本文を読めるように配慮していますが、表示される画面デザインや動作が異なったり、画面が乱れたりする場合があります。あらかじめご了承ください。

本文へ戻る