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弱いチームでも球団経営は成り立つか

島田亨(しまだ・とおる)
1965年生まれ。東海大学文学部広報学科を卒業した1987年に、在学中から仕事に参加していたリクルートへ入社。早々に営業成績全国トップに輝くなど活躍。1989年には人材紹介会社インテリジェンスを創業、1995年には同社取締役副社長に就任。2000年にシーズ・ホールディングスの代表取締役に就任すると、以後2004年までの間に複数の企業で経営に参加しつつ、投資家活動を展開。2004年10月、楽天野球団に迎えられ、副社長を経て代表取締役社長に就任。現在に至る。

実は取材の冒頭で「チームが強くなくても球団経営を成功させることはできると思いますか?」という質問を島田氏にぶつけた。そのとき、若き球団社長はニコリと微笑みながら「できますよ」と即答した。

「毎年必ず優勝するようなチーム」じゃなければ経営が成り立たないのだとしたら、それは経営サイドの怠慢というわけだ。その代わり島田氏は「ファンの期待を裏切るチーム」になってしまえば、スポーツ・ビジネスは成立しないとも語った。

「期待を裏切らないだけの強さ」は最低限維持しなければいけないのだ。前回紹介した通り、島田氏は球団経営を成功させるための鍵は二つある、と考えている。一つは「愛されるチームになる」こと。もう一つは「強いチームになる」ことだ。

大雑把な言い方をすれば、プロ野球は興業ビジネス。仮に強くなくても、人気さえ絶大ならば入場料収入も広告収入も手に入る。例えば、人気面の横綱でありセ・リーグ優勝を決めた阪神タイガースや、陰りが見えてい るとはいえ、いまだ全国区の人気を持つ読売ジャイアンツならば、毎年優勝争いをしなくとも一定の支持を維持できる。もちろん、あまりにも不振続きとなれば話は別だが、両チームにはこれまで培ってきた歴史がある。言ってみればブランド商品ということ。黙っていても売れる。多少弱い時期があっても愛される。

楽天イーグルスの場合、まだブランド力がない。だから「愛され続ける」ためには「強くなっていく」ことが求められるのだ。その代わり、今はピカピカの新商品としての魅力がある。この魅力で引っ張ることができる猶予期間が、島田氏によれば3年間ある。その猶予期間中に「強さ」という付加価値づくりに成功できれば、イーグルスが強いブランド力を将来持つ可能性がぐっと高まるのだ、と島田氏は説く。

「チームは僕たちの唯一最高の資産です。この資産の価値をどれだけ高めることができるか、そして、その価値をどれだけ数多くの方々に認知してもらえるか。それが、僕たち職員が考えるべきこと、やるべき仕事なんです」。

「楽天イーグルス立ち上げ奮闘記」は全12回連載です。毎週月・水・金に更新。次回は、10月3日(月)に掲載する予定です。

森川 直樹

立教大学経済学部卒業後、フジサンケイグループ、講談社グループを経て独立。ビジネス誌を中心に活動しつつ、一般誌、女性誌でも幅広いジャンルを手がけている。

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