グーグルが、東京に“心臓”を設置
グーグルのホームページにアクセスして、「人材募集」のリンクをたどると、「Why you shoud work at Google」のページに到達する。このページは、次の一文から始まる「…Google is an engineering company.」。
「ええ、グーグルはエンジニアの会社です。現在、全世界にいる約5000人の社員のほとんどがエンジニアです。いい意味でも悪い意味でも、個性の強いエンジニアたちが集まって、しょっちゅう討論をしています。プロダクトを作るうえで、彼らに妥協はないですね」(グーグルで広報を務める斉藤香氏)。
エンジニアの会社であるグーグルにとって、研究開発センター(R&Dセンター)は、その心臓部と言える。2004年12月、東京にもこの“心臓”が設置された。「東京研究開発センター」がそれだ。本社があるアメリカのマウンテンビュー以外では3カ所目、アジアではインドに次ぐ2番目だ(2005年7月には中国にも開設した)。
優秀なエンジニアが不足している
グーグル日本法人の村上憲郎社長は、東京研究開発センター設置の背景をこう語る。
「とにかく優秀な人材が欲しい、ということです。北米でも人材が不足している。『(他社からグーグルに)移ってもいい』という人も枯渇してきた」。米国では、ヤフーやマイクロソフトとの間で、技術者の引き抜き競争が熾烈(しれつ)を極めている。時には、訴訟沙汰に発展することがあるほどだ。
「だから、日本の優秀なコンピュータサイエンスの研究者に参加してほしいんです」(村上社長)。日本は、学校教育のレベルが高く、コンピュータ会社も多い。大学・大学院に在籍するコンピュータサイエンスの研究者、あるいは同業他社の優秀なコンピュータ技術者を囲い込むのに適している。
東京研究開発センターは「あくまでも世界の中の一機関としての位置づけ。日本のマーケットだけを視野につくったわけではない」と村上社長は説明する。他国のR&Dセンターのエンジニアと共同でさまざまなプロダクトを作るわけだ。
日本の視点を世界に生かす
ただし、グーグルが重要視している日本市場向けサービスの品質向上、日本語処理の研究などの役割も当然担う。「グーグルにとって日本語は、英語とドイツ語に次いで、パイの大きい言語。つまり、日本はとても重要な市場だ。また、グーグルのサービスが世界中で利用されることを想定した場合、日本にR&Dセンターを設置しておけば、新しいサービスが出てくる可能性も高まる。米国のエンジニアと日本に住むエンジニアでは、発想が異なるからだ」(斉藤氏)。
例えば昨年夏にスタートした「Googleローカル」。日本語版に先行して英語版のサービスが提供されていた。日本語版は、一見したところ、英語版を翻訳しただけのように見える。だが、日本にいるからこそ気がつく点が数多く反映されている。
「米国では、車を使った移動が一般的。だから、入力した場所から20km先にある店舗が検索結果として出てきても、ユーザーは『当然』と受けとめることが多い。しかし、日本では電車での移動が中心となります。例えば『ラーメン 渋谷』で検索する場合、日本のユーザーは、渋谷駅周辺のラーメン店の検索結果を期待している。その国に合ったサービスを提供するためには、発想の違いがあるので、その国で生活しないと分からないことが多い。そういった発想の違いから、日本市場向けだけでなく、世界中のユーザーに役立つサービスが生まれることを期待しています」(斉藤氏)。
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