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量販店の店頭に、検出率の数値が並ぶ日を期待する

現在の対策ソフト市場は、検出力をブラックボックスにしたマーケティングである。冒頭で示したような機能の追加競争や、購入費用が安いとか更新無料といった価格競争が主流だ。検出力が分からないから、「機能の多い商品」「安い製品」を選択をするパソコン利用者が多い。

第三者が検出力のデータを示すと、個人や企業が対策ソフトを選定する際の購買行動を変える可能性がある。10%も差がある状況で検出率が公になれば、顧客が最優先する評価基準は検出率になる。パソコンショップは店頭で、対策ソフトの各種機能の有無を○×で示す比較表を掲示している。自然と○が多い製品に目が向く。検出率が書き込まれたら、最も目を引くのは検出力の数字に変わるだろう。

検出力1位の製品を選ぶ人が急増して、個人や小規模事業所が対策ソフトを選定する流儀が根底から変わる可能性がある。

企業は「検出力が低い製品を採用した」責任を問われる?

企業ユーザーの場合、現在は“価格”と“運用”を検出力よりも優先して選定している。従業員が多い企業はパソコン台数が多いので、ソフトウエア費用に占める対策ソフトの割合が無視できない状況だ。パソコンの台数が多く複数の事業所がある企業では、初期のインストールや個別のメンテナンスの作業負荷を下げるために、一括インストールや遠隔インストール機能を重視する。日々のパターンファイルの更新の進捗を管理者が自席から確認できる運用管理機能も必要だ。これらの理由から、製品選定のチェックリストに検出力の項目がない企業もあるという。

検出力が公知になると、明らかに検出力に劣る製品を選んだ企業やIT担当者は、責任を問われるかもしれない。ウイルスに感染して外部に情報が漏洩したり、顧客向けサービスが停止するトラブルを起こした場合、「検出力が低いと分かっていながら採用していた」という理由で批判を浴びるかもしれない。企業の選定基準も検出力優先に変わる可能性がある。

検出力の比較調査は、対策ソフトの今後の技術開発とマーケティングを根底から変える有意義なものだ。日経パソコンが今後も定期的に実施することを期待するだけではなく、他メディアや他機関も参入して客観的なチェックができるようになることを熱望する。

須藤 慎一

本業は通信や情報機器のプランナー/ライター。企業を訪問して事例を取材するのが大好き。ライフワークとして迷惑メール対策にも取り組んでいる。
http://www.ipaco.co.jp/prof/

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