迷惑メールの送信停止を求める警告書があなたに届く
(須藤 慎一=ライター)
一人暮らしのAさんが仕事を終えて家に帰ったら、契約しているプロバイダから封書が届いていた。中身は、「あなたは迷惑メールを送信しており、多数の苦情が寄せられている。直ちに送信をやめないと契約を解除する」という、驚く内容の警告書だった。もちろんAさんは迷惑メール業者ではないし、チェーンメールや嫌がらせのメールを送ったこともない。
プロバイダが添付した迷惑メールの送信記録の一覧表を見たところ、自分がパソコンを使った日時とピッタリ合っていた。「迷惑メール業者の代理で迷惑メールを送信する」ウイルスに、自宅のパソコンが感染していたのである。悪人の遠隔操作の通りに動作する、このようなウイルスをボットと言う(関連記事)。
ボットの感染事例が増えていると、プロバイダやセキュリティ会社が去年あたりから報告し始めた。筆者は、迷惑メールの送信に利用されたプロバイダに、送信者の迷惑行為を停止するように求める“迷惑メール撲滅運動”を続けている。プロバイダから届く返事の内容で、送信者が迷惑メール業者だったのかボット感染者だったのか判明することがある。去年までは、ボット感染者らしいという返事は2カ月に1件程度だった(国内プロバイダの数字、以下同様)。
ところが、9月以降はボット感染者らしいという返事が毎週のように届くようになった。急増しているのかもしれない。プロバイダは、冒頭に示したような連絡をボット感染者に送り、対策を求める。ウイルス対策ソフトの試用版を同封する親切なプロバイダもあるという。
国境を越えた迷惑メール送信が目的
筆者の元に届いたボットによると思われる迷惑メールは、すべてが英語表記で、医薬品通販やアダルトサイトの広告であった。海外の迷惑メール業者が仕掛けたボットに、国内のパソコンが感染して、彼らの手先として迷惑メールを送信したと考えられる。
迷惑メール業者は、自国内の宛先に迷惑メールを送ることを控え、海外に迷惑メールを送るようになってきた。国境を越えることで、取り締まりを逃れやすいからである。海外のプロバイダや監督官庁に、その国の言葉で申告を行うのは難しい。要するにクレームが来ないのである。海外にメール送信のための拠点を用意する業者もいたが、見ず知らずの海外の人のパソコンをボットに感染させる方が手軽である。結局、世界中の迷惑メール業者がボットを使うようになってしまった。
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