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市民権を得た「捨てアド」、ビジネスパーソンにもご利益

2006年9月4日

(須藤 慎一=ライター)

2002年は、ネットにおける大規模な個人情報漏洩が世の中を沸かせた年だった。エステ会社が行った女性の身体的な悩みに関するアンケートの回答データが漏洩した“事件”がその代表。具体的な悩みの内容と住所・氏名・メールアドレスが漏れて大騒ぎになった。だれでも閲覧できる状態でネット上に長期間“放置”されていたため、このデータをダウンロードした人の数すら分からなかった。この後、アンケートの回答者には、広告メールや不快な内容のメールが届いたという。

このほか、高校生の成績、企業が実施する懸賞に応募した人のデータなどがネット上に放置された。中には、検索エンジンに登録されたものもあった。事態が公になった後、被害者に対して、謝罪どころか、なんの連絡もしない企業・団体まであった。

個人情報を扱う側のこうした無責任ぶりが明らかになるにつれて、ネット利用者の側には自己防衛の意識が根付くこととなった。なかでも「捨てアド」に対する認識は大きく変わった。

「いかがわしい」から「積極的に使うべき」に

当時、「捨てアド」論争というものがあった。捨てアドとは、使い捨てメールアドレスの省略語である。日常的に使うメールアドレスとは別のメールアドレスを用意し、日常的に使うメールアドレスを教えたくない相手との連絡に利用する。不要になったり、不都合が生じたら捨てアドは抹消してしまう。

それまで、「捨てアドは禁止すべき行為」とみなす人が多かった。「出会い系サイトへの投稿や犯罪がらみの利用など、ネット上での怪しい行為を助長する」というのが理由である。捨てアドで掲示板に投稿すれば、メールアドレスで投稿者を識別する掲示板やメーリングリストが匿名掲示板に変わってしまうと危惧する声もあった。これが捨てアド論争の中心部分で、ネット創成期なら妥当な考え方と言えた。ところが個人情報の漏洩が大量発生したことで風向きが変わった。捨てアドの利用が公認されるようになったのである。

同じ時期、パソコン宛てのメールを携帯電話で閲覧するためにフリーメールを利用するビジネスパーソンが増加した。フリーメールの“社会的地位”が向上したおかげで、捨てアド代わりにフリーメールを利用することも許容されるようになった。わずか4年ほどなのに、隔世の感がある。

next: 捨てアド専用のサービスまで登場している…

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