このページの本文へ
ここから本文です

弁護士に聞く社内恋愛とセクハラの境界線

2006年3月28日

(日経ビジネスAssocie編集)

自由な恋愛をしようにも、「セクハラ」という言葉が頭に浮かんでどうも積極的になれない。弁護士・井口博氏の解説を基に、社内恋愛とセクハラの境界線をきちんと理解しよう。

「社会的相当性」=「一般常識」

■一般的なビジネスパーソンにとって、セクシュアル・ハラスメントという言葉の定義は曖昧なように思えます。「相手の女性が嫌がればすべてセクハラ」といった認識も、一部にあります。

井口 博(いぐち・ひろし)
1949年11月生まれ。一橋大学法学部卒業。横浜地裁判事補、大阪地裁判事を経て1989年弁護士登録。1993年米ジョージタウン大学ロースクール大学院修士課程修了。1996年、東京ゆまにて法律事務所を開設。専門は一般民事。性暴力裁判全国ネットワークの関東代表を務める。

井口 一般論としては「女性が嫌がればセクハラ」という考えは間違っていません。ただ、男性に対して法的責任を問えるかどうかは、別問題です。

裁判でいちばん問題になるのは「女性の部下が男性の上司に誘われ、本心では嫌だったが、表向きは『YES』と言って応じた」場合です。後で女性が「本当は嫌だった」と主張し、男性が「その時は『YES』と言ったではないか」と反論するパターンが最も多い。

この場合、男性上司が「女性が本当は嫌がっていると気づくべきだったかどうか」、つまり男性側に「認識可能性があったか否か」が争点になります。

■認識可能性の有無は、どんな点から判断できますか。

井口 法律用語では「社会的相当性」という基準があります。実例を挙げましょう。

ある職場に、男性上司と女性部下がいて、2人は終業後よく一緒に帰っていました。ある夜、女性が先に帰宅すると、男性上司は後から車で女性の家の近くまで行き「仕事のことで話がしたい」と言って呼び出し、車中で猥褻行為を働きました。

事が起こったのは、就業時間外で、かつ社外です。「プライベートな関係だから、セクハラではない」と見なされる可能性もありました。でもこの件はセクハラと認定されました。男性が女性を呼び出す際「仕事」を口実にしたためです。たとえ社外であっても、女性側から見れば職場内の上司部下関係を意識したからこそ、呼び出しに応じたわけです。

■一般人でも納得のいく認定だと思います。

井口 その通りです。例えば、男性上司に昼食に誘われて、女性部下が実際は嫌だと思っていた、というような場合。昼食は勤務時間内ですし、同僚や上司・部下で一緒に行くのはごく普通のことです。ですから、これはセクハラには当たらない。先に言った「社会的相当性」というのは、こんなふうに一般常識に照らして理解できます。

next: 職場での注意点

あなたのご意見をコメントやトラックバックでお寄せください

記事検索 オプション

日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。

ご案内 nikkei BPnetでは、Internet Explorer 6以降、 Safari 2以降、Opera 8以降、Netscape 8.1以降またはHTML 4.01/CSS level 1, 2をサポートしたWebブラウザでの閲覧をお勧めしております。このメッセージが表示されているサポート外のブラウザをご利用の方も、できる限り本文を読めるように配慮していますが、表示される画面デザインや動作が異なったり、画面が乱れたりする場合があります。あらかじめご了承ください。

本文へ戻る