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言葉の力〜スローガンで士気を高める

2006年12月21日

私は、自分が現役選手だったころから「有言実行」を旨としている。自分が目指すものを口に出すことで、自らのモチベーションを維持してきた。それは監督になってからも変わらなかった。心の内を言葉にして露わにすることの効果を、身を以て実感していたからだ。

だから、例えばスポーツ紙の記者に「今度の試合は30点以上差をつけて勝つよ」と平気で言ったりした。単なる大言壮語とは違う。本当に「できる」と信じて口にしていた。監督に就任した最初の年には、「本当にこの監督について行って大丈夫なのか」という不安が選手の間にあったと思う。当然である。それまでの私には、選手としての戦績はあるものの、監督としての実績はなかった。

だが、私の強気の発言が何度も現実になった。「この監督の言う通りに練習し、自分たちがベストを尽くせば、本当に強くなれる」という自信が選手たちに芽生えていった。それは彼らの顔やプレーに如実に表れた。自信の高まりとともに、監督である私への信頼も高まった。まさに狙い通り。有言実行が信頼獲得へとつながったのである。

言葉には力がある

早稲田の監督に就任して2年目に、私は1つのスローガンを掲げた。「アルティメット・クラッシュ」だ。日本語訳すれば「究極の勝利、圧倒的な勝利」。選手たちには、もっと平たく「負けた相手がぐうの音も出せないくらい、ぼこぼこにして勝つ」という意味だと伝えた。そして、それ以後いくつもの試合で私たちは「アルティメット・クラッシュ」を実現したのである。

もちろん、トレーニングの仕方を変えたり、透明なルールづくりを進めたり、様々な要素が絡み合って早稲田は強くなっていった。だが、その要因の1つとしてスローガンの効果もあった、と私は思っている。言葉には、人を奮い立たせるパワーがあるのだ。

当然のことだが、漫然とつくったスローガンでは効果は望めない。「具体的に何をすればいいのか」が伝わってくるスローガンでなければ、言葉はパワーを発揮しないのだ。実は私も失敗を経験している。「アルティメット・クラッシュ」の成功で気をよくした監督3年目、「もっと上を目指そう」という気持ちを込めて、「レイズ・アップ」という新スローガンを掲げた。しかし、新しいスローガンはうまく機能せず「アルティメット・クラッシュ」に戻したのだ。スローガンを元に戻した途端、選手たちの動きが生き生きしていくのが、目に見えて分かった。

ともあれ、メンバーが、自分たちの心意気を示すスローガンを得たとき、驚くほどの効果があることを私は知った。前回ふれた「荒ぶる」や「赤黒ジャージ」と同じ機能をスローガンは果たすのである。

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