ビジネスになりえるのか検証する
横銭氏は今後、テレトロ祭りの効果測定を実施する予定だ。ログから来場者数を把握したり、街角などで人数をカウントする。来場者のチャットをながめたり、来場者とチャットして感想や意見を集める。定量的、定性的、両方の分析を行う予定である。ただし、現時点では数字で評価することに価値はない。日本人のセカンドライフ参加者は8万人と言われている。この数では分母が少なすぎるからだ。
横銭氏が重視しているのはシャワー効果だ。セカンドライフに出店することで、Webやブログに記事が載り、非セカンドライフユーザーに認知させる効果である。広告主は、セカンドライフでの活動が、Webやブログを通じて100倍の広がりを得ることを重要視しているからだ。
テレビ局は、「リーチの長いメディア(非常に幅広い層に情報を送り届けることができるメディアという意味)」である。単独でセカンドライフに出店したものの、来場者を得られなかった米国企業の例がある。横銭氏は「テレビ局のノウハウとリーチを使うことで、より効果的にセカンドライフが利用できるはず」と見る。テレビ東京がセカンドライフでイベントを実施することの、ビジネスとしての意味がそこにある。
ただし、大きな額ではないとは言うものの、セカンドライフでイベントを実施するにはコストがかかる。「お化け屋敷を作って」という来場者の要望があるが、スポンサーなしでは難しい。3Dデザイナーやプログラマの数が少ないので制作費が高止まりしている。不審な行為が行われないように、つねにスタッフが巡回する体制を組んでいるので、このための人件費もかかる。この辺は、通常のWeb制作とはかなり異なる。
しかも、常に新しい企画を追加していかないと飽きられてしまう。「靴が並んでいるだけといった安易な出店企業がある。お客さんは2度と訪問しないだろう」(横銭氏)。テレトロ祭りでは企画を連発して、繰り返し来場してもらう工夫を行う。
現在はノウハウが確立していないので、試行錯誤にもお金がかかる。屋形船で花火を見る案は、船1艘(そう)に5人しか乗れないと分かり制作前にボツにした。昭和30〜40年代のアパートを再現する企画は途中で打ち切った。壁やインテリアなどの細部にこだわって質感を出すと、データ量がどんどん重くなって、表示できないパソコンが増えると分かったからだ。横銭氏は「『1週間、無料で住める権利』のプレゼントなどを考えていたので残念だった」と語る。
お笑い芸人がコントを行うパフォーマンスは、制作費がかかるが面白いかどうか分からないのでやめた。代わりに、出演者が自分のアバターでテレトロ祭りの会場を歩きまわることにした(深夜番組でオンエアする予定)。
コストに関するこうした課題をクリアしたうえで、来場者を継続的に集められるか? 広告主を継続的に得られるか? これらを基準に、ビジネスとして成立するかを判断する。横銭氏は「単発のイベントを成功させただけではビジネスモデルにはならない。次は収益を見込める方法で展開する」と語る。現状を厳しく評価しつつ、事業化を進める予定だ。
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