台湾式マッサージ店で実感 「まねる」「盗む」が人を育てる〜感性を高める組織(4)
私は無類のマッサージフリークである。人を揉むのも、揉まれるのも得意だ。「揉まれるのに上手・下手があるのか」と思う方もいるかもしれないが、これは断固として「ある」と主張したい。
マッサージを受けるのは、単に身体を投げ出すことと同義ではない。必要なのは積極的な受動性だ。感性を開いて研ぎ澄まし、身体になされるがままを受け入れて味わう。そうすると、相手の技量や心理状態までもが即座に分かるようになるのである。
私はこれまで、数多くの店でマッサージ師や鍼灸師の方と接してきた。いずれも立派な資格を持ち、相応の経験を積んでいるはずだが、中には手を抜く人もいる。ポイントを外しまくっているのに、そのこと自体にすら気づかなかったりする。それは技量というより、意欲の問題だろう。「やり過ごせばいい」という意識が先に立って、「この客にまた来てもらいたい」という思いが足りない。指先から出るそういうメッセージを、私の身体は敏感にキャッチするのである。
「先生」と「従業員」の境目
そんな私は先日、裏通りでたまたま見つけた台湾式マッサージの店にふらりと立ち寄った。いささか怪しい雰囲気ではあったが、異国情緒漂う店構えから、本格的なマッサージを受けられるのではないかと期待したからだ。
怪しげな雑居ビルの2階にある受付に行くと、そこにいたのはラフな短パン姿の台湾人青年。カタコトの日本語を話す彼と値段交渉をしながら、「ここは東京の真ん中だが、日本ではない」との思いを強くした。
怪しいといえばもう1点。しばらく待っている間、同じフロアにあるトイレを借りようとしたところ、「そこはマッサージの先生用で、客用は上のフロアにある」という。わざわざ階段を昇るのも面倒だし、先生用ならきれいだろうと思って断わって入ると、そこが異様に狭くて汚い。この店の「先生」はこういう扱いなのか、と妙な感慨を持ったものである。
(全 3 ページ中 1 ページ目を表示)
この連載のバックナンバー バックナンバー一覧へ 画面先頭に戻る
- セッティング・バージョン その1 「積極的受動性」を呼び覚ませ (2008/09/26)
- 時代はMBAより「大家族主義」だ〜大学の授業風景をヒントに考える (2008/09/19)
- 台湾式マッサージ店で実感 「まねる」「盗む」が人を育てる (2008/09/12)
- リーダーは出すぎず、埋没せず 「アンテナ3本!」の“触媒”であれ (2008/09/05)
- その抑圧を取り払え! 感性ある者を容認する組織が勝つ (2008/08/29)
