その抑圧を取り払え! 感性ある者を容認する組織が勝つ〜感性を高める組織(2)
先日、たまたまアメリカのテレビドラマ「デスパレートな妻たち2」を見ていたら、興味深い場面に遭遇した。十数人が輪をつくり、各人がそれぞれのアルコール依存体験を告白していくというものだ。
この会に初めて参加した主人公の一人は、まだ自分の症状を認めたくない。発言を求められても、「他の事情があって参加しているだけ」などと言って拒否する。そんなシーンだったと記憶している。
人はもともと自己解決能力を持っている
これは、アメリカ発祥の「Alcoholics Anonymous(通称AA)」の様子を描いたものだ。直訳すれば「匿名のアルコール依存症者の会」、いわゆる「断酒会」である。同じ問題で苦しむ見ず知らずの者どうしが集まり、経験や情報を語り合うという、いわば自助グループだ。「デスパレート〜」にかぎらず、アメリカのドラマや映画にはよく登場する。それだけ社会に定着しているということだろう。
実際、こういう会は驚くほど成果を上げている。互いの告白によって膨大な経験値が蓄積され、そこから各自が解決の糸口を見つけていくらしい。今やアメリカのみならず、日本を含めて世界中で同様の会が開かれている。またアルコールのみならず、その他の依存症や拒食症などに悩む人の間でも応用され、成果を上げているという。
特筆すべきは、そこに専門医はおろか、場を仕切るオーナーやリーダーらしき人もいないということだ。つまり、専門的ないし指導的立場から「〜しなさい」「〜すべきだ」と指示する人が存在しないわけである。
その代わりにいるのは、発言を順番に促すような“触媒”的な人だけ。一方で、同じ悩みを共有する者なら、誰が参加してもかまわない。そういう開かれた組織だからこそ、心を開いて話せるのかもしれない。
ここには、重要な示唆がある。特別なリーダーが存在しなくても、各自は自己解決の道を探し出すことができる。むしろいないほうが、自覚が生まれやすい。ただし、一人だけで解決することは難しい。条件は、同じ意識の仲間が集うこと。それによって感性が解き放たれ、本心を吐露しよう、吸収しようという姿勢になれるのである。
逆にいえば、もともと個々人はそれぞれに問題解決の能力を持っているにもかかわらず、ふだんは何らかの抑圧によって、その力を発揮できないということでもある。ならば、抑圧を取り除けばよい。組織のあり方を考えることで、それは可能かもしれない。
(全 3 ページ中 1 ページ目を表示)
この連載のバックナンバー バックナンバー一覧へ 画面先頭に戻る
- セッティング・バージョン その1 「積極的受動性」を呼び覚ませ (2008/09/26)
- 時代はMBAより「大家族主義」だ〜大学の授業風景をヒントに考える (2008/09/19)
- 台湾式マッサージ店で実感 「まねる」「盗む」が人を育てる (2008/09/12)
- リーダーは出すぎず、埋没せず 「アンテナ3本!」の“触媒”であれ (2008/09/05)
- その抑圧を取り払え! 感性ある者を容認する組織が勝つ (2008/08/29)
