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翻って、私たちの日常はどうか。

スポーツ選手にとっての身体ほど敏感ではないにしても、違和感を覚えるシーンはよくある。例えば私は静岡県の出身なので、黒いツユの「静岡おでん」以外をおでんとは認めたくない。一般的なおでんを食しても、どうもしっくり来ないのである。すっかり東京暮らしのほうが長いのだが、この感覚が変わることはない。

それは単に幼少の頃に親しんだ味を忘れないだけではなく、自分の培ってきた“好み”を変えたくないという意識が働くためだろう。「一つの趣味は千の嫌悪から成り立つ」という言葉があるが、「一つの好みは千の違和感で成り立つ」ともいえそうだ。

あるいはどこでどう調べたのか、しばしば私の携帯にもいかがわしいメールが届く。もちろん中身を読むほどヒマではないが、タイトルを一瞬見ただけで、他のメールとは明らかに違う“怪しさ”が漂ってくる。これも違和感の一種だ。

ただ一方で、私たちは野性的な違和感を少しずつ鈍化させている気がする。感じる必要がないほど、安全で快適な社会に慣れ親しんでいるからだ。だから逆に、そんな社会を支える情報に偶然または故意の間違いがあっても、なかなか気づけない。賞味期限が誤表示された食品を食べて、そうと気づく人がどれだけいるだろうか。いかがわしいメールやいわゆる「振り込め詐欺」が後を絶たないのは、その誘いに乗ってしまう人が少なからずいるからだろう。

新入社員時の感覚はいずこへ

では、ビジネスのプロであるビジネスパーソンはどうか。

どんな会社にも、おおいなる違和感を胸に抱いている一群がかならず存在する。新入社員たちだ。学生気分が抜けきらない彼らにとっては、会社で見聞きするすべてが新鮮に映る。規則や言葉づかいなどの表面的な部分もさることながら、社内にある独特の文化や上下関係、それに仕事のすすめ方などの“暗黙知”にも揉まれていく。

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