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■馬さんは子供のころから遮二無二頑張ってきたので、「頑張らなくてもよい状態」に慣れていなかったんでしょうね。

 そういえば、ゴルフをしていたときに言われたことがあるんです。一緒にコースを回っていた人から、「馬さんは、困難な場所からボールをフェアウェイに出すといった場面では本当に真剣にプレイする。だから、結果もいい。逆にフェアウェイのど真ん中にあるボールを打つときは、あんまり一生懸命プレイしているように見えないし結果も悪い」って(笑)。さすがにそう指摘されたときには、自分でもおかしくなって、笑い出してしまいました。でも、あとから思い起こすと本当にその通りなんです。

■仕事でも、ゴルフでも、自分の前に障害がないとやる気が起きない(笑)。

 本当にそうですね。

■目標を失っていた馬さんが、再び目標を取り戻したのはどういうきっかけからですか。

 自分は本当は何をしたいんだろう?と自問自答したんです。出てきた答えは2つ。1つは東京エレベーターという会社をもっと大きくしていくこと。もう1つは、本を書くことだと思ったんです。私の人生は山あり谷あり。でも、いつもあきらめることがなかったので、良い結果を残すことができました。自分の好きな人生を、自分で選び取った。それを本にして伝えたいと思ったんです。「中国人女性弁護士が伝授する最新中国ビジネス 果実と毒」、「目標は夢を叶える近道」の2冊をすでに出版しています。

日本は頑張る女性を応援してくれる国

■日本で仕事をしてきて、どうですか? 働きやすい国でしょうか。

 日本人は、頑張っている人間をすごく評価してくれるところがあると思います。特に信念を持って社会進出している女性を温かく応援してくれるところがある。それが有り難いですね。自分という人間を評価してくれる日本という国が好きです。

■留学した先が日本ではなく米国だったら、もっといろいろなビジネスができたのではないかと考えたりはしませんか。

 そういう指摘をされることは結構あります。でも、私は日本の環境が好きなんです。米国にも何回も行きましたが、やはり日本の方が居心地がいいように思います。そもそも、「安全な生活ができる」というところに惹かれて、日本に留学しましたし。

日本と中国には、政治の世界では不協和音もあるようですが、文化や産業レベルでは決してそうではありません。お互いに不可欠な存在といっていい関係にあると思います。特に、2008年の北京オリンピック、その後の万博が終わるまでは、中国に対する日本人の注目度は高まっていく一方だと思います。その中で、日本の生活を体験した人間として、日本のことを中国に伝えていくことが、自分の役割ではないかと思うことがあります。そういう人は案外少ないようですから。

■いろいろな経験を積んだことで、馬さんという人間の価値が高まったということですね。

 すべての経験に価値がある。「無駄」なんてことはないと思います。どんな経験も、自分が新しいことを始めるときの大切な資産になっていく。私はそう考えています。

馬氏のインタビューは今回が最終回です。

■馬 英華(ま えいか)氏のプロフィール

1965年 中国大連市生まれ
1988年 大連外国語学院 4年生在学中に来日
1990年 早稲田大学法学部入学
1996年 中国弁護士資格取得
1997年 日本で東京エレベーターを設立し、副社長に就任
1999年 早稲田大学大学院法学研究科博士後期課程修了。中国ビジネス研究所を主宰し、中国に進出する企業のアドバイザーとして活動を開始
2004年 東京エレベーター代表取締役社長に就任。中国大連に法律事務所「上海市律和理律師事務所(馬英華律師OFFICE)」開設
現在 中国に進出している多数の企業の顧問弁護士・コンサルティングを務めるとともに、企業・大学等で講演・講義などを行う。また、独立行政法人 中小企業基盤整備機構の国際化支援アドバイザーとして中国ビジネスの手助けをしている

三浦 優子

1965年、東京都町田市出身。日本大学芸術学部映画学科卒業後、2年間同校に勤務。コンピュータとはまったく縁のない生活を送っていたが、1990年、コンピュータ業界向けの週刊新聞「BUSINESS COMPUTER NEWS」を発行する株式会社コンピュータ・ニュース社に入社。13年間、IT業界のメーカー、販売店などを対象に取材活動を行う。2003年4月、同社を退社し、現在はフリーライターとして取材、執筆活動を行っている。

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