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すべての経験に価値がある〜東京エレベーター社長 馬 英華氏

2006年11月2日

(聞き手:三浦 優子=フリーライター)

第1回第2回

 エレベーター保守サービスを展開する東京エレベーター社長の馬英華氏は、「経営者の仕事はこれまでとは勝手が違う」と言う。「自分一人が頑張るだけでは、会社としての成果は出ない」からだ。自分が頑張って問題を乗り越えていくことに慣れていた馬さんは、どのように「社員全員で頑張る」経営者にシフトしたのだろうか。

「社長だけが頑張ればいい」…社員からのきつい一言

■「経営者としての仕事」は、これまで馬さんが経験してきた弁護士の仕事とは違う頑張りが必要ではないですか?「いい学校に入る」とか、「弁護士の資格をとる」というのは、自分一人が頑張ればいい。でも「会社を経営する」ことは、自分一人が頑張ってもうまくいかない。

 会社を始めて最初の何年かは、「すべて自分一人でやらないといけない」と思って、寝る間も惜しんで働きました。ところが、そのうちに私も身体を壊してしまった。辞めていく社員もたくさんいました。ある社員が辞めていくときに、「社長一人で頑張ればいい」と言われてしまった。とてもショックでした。

東京エレベーター社長 馬 英華氏

結局、社員とのコミュニケーションが全くとれていなかったんです。全部、私がやればいいと思っていたから。コミュニケーションをとることを考えすらしない状況でしたから、社員たちも頑張りようがなかったんだと思います。

私自身が病気になり、手術をすることになりました。手術が終わった後で考えたのは「自分が死んだら東京エレベーターという会社は残らない」ということでした。私がいなくなっても続いていく会社にしなければ駄目だと思いました。

それで病気から回復した後、社員ときちんとコミュニケーションをとって、責任ある仕事を社員に任せるようにしました。そうしたら、社員が変わってきたんです。私自身もすごく楽になりました。

経営者にとって最大の課題は、人間を育てることなんですね。これは自分一人で成果を出せばいい学校の勉強とは違って、簡単には実行できない問題です。どの経営者の方も人の育て方についていろいろと苦労されています。

私が社員に向かって言っているのは、「会社は私のものではない。皆さんのものです」というメッセージです。

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