このページの本文へ
ここから本文です

■米国では大学を卒業するときに、もっとも優秀な人間がベンチャー起業を起こし、その次に優秀な人間がベンチャーを起こした経営者のサポートに回り、大企業に入るのはその次、そして最後が公務員になる、といわれているそうですね。ちょうど日本の価値観とは全く逆ですが、この点についてはどう思いますか。

北城 確かに一般的に米国の大学では、「最も優秀な人間はベンチャーを起こせ」といわれています。ベンチャー経営者はリスクも高いし、想像力というか、アイデアを出さないと、成功しません。能力の高い人間こそ、ベンチャー経営者に向いているんです。そこまでの自信のないひとは、ベンチャー企業に入って活躍したり、コンサルティング会社に勤める。そこまでの自信のない人は大企業に入る。さらにそこまでの自信のない人はお役所に入る。これは半分冗談でしょうが、人に指示して働く人はかなり高い能力が求められるのです。だからこそ、「非常に優れた人間はベンチャー経営に挑戦するべきだ」といわれるのではないでしょうか。

■日本でも米国のようなベンチャーの精神を小さいころから教育していく必要があるのではないでしょうか。

北城 ベンチャー経営に挑戦するというのは非常に難しいことです。しかし非常に難しいことなんですが、やりがいもあります。だから日本でも「新たなことに挑戦することは大事なことなんだ」という教育をする必要があると思います。日本の教育というのは大学受験までは知識偏重教育です。詰め込み教育で、自ら新しいことに挑戦するという教育ができていない。大学もそうです。こうした教育を変えていかなければならないと思います。社会の価値観が、ベンチャー企業の起業に挑戦する人を褒め称えるような価値観にならなければいけないと思います。成功した人が出てくれば、社会の価値観は変わります。これは“鶏と卵”のような関係だと思いますが。人はお金だけではありませんから、自分の仕事がどれだけ社会から認められているのか、多くの人たちがベンチャーに挑戦することがどれだけ意義のあるなのか──をマスコミも含めて伝えていくことが大事なんだと思います。

■最後にエンジェル税制の導入とともに、今後どのようなことが必要だと思いますか。

北城 いろいろあります。例えば経営面での支援です。いくらいい商品やアイデアであっても、信用がないとなかなか売れません。どんな商品であっても翌年存続するかどうかわからないような会社の商品を買うひとはほとんどいませんから。そんなときに社会的な信用のある人や経営の経験のあるひとが社外取締役になって経営指導したり、自分のネットワークや信用を元にして販売先を探したりして、応援することが大事だと思います。

松崎 隆司(まつざき・たかし)

経済ジャーナリスト

中央大学法学部を卒業後、経済誌の出版社に入社。経済誌の記者やM&A専門誌の編集長などを経て1999年独立。経営論から人事、M&Aなど経済全般について取材を進めている。

主な著書
「会社破綻の現場」(講談社)
「闘う経営者」(実業之日本社)
「商売のしくみとしきたり」(日本実業出版社)
「教養として知っておきたい『昭和』の名経営者」(三笠書房)

(全 4 ページ中 4 ページ目を表示)

あなたのご意見をコメントやトラックバックでお寄せください

記事検索 オプション

日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。

ご案内 nikkei BPnetでは、Internet Explorer 6以降、 Safari 2以降、Opera 8以降、Netscape 8.1以降またはHTML 4.01/CSS level 1, 2をサポートしたWebブラウザでの閲覧をお勧めしております。このメッセージが表示されているサポート外のブラウザをご利用の方も、できる限り本文を読めるように配慮していますが、表示される画面デザインや動作が異なったり、画面が乱れたりする場合があります。あらかじめご了承ください。

本文へ戻る