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■なるほど。

ガンペル 一般的に新しい経営陣が会社を再生していく方法は3つあります。一つ目はマッキンゼー・アンド・カンパニーやベイン・アンド・カンパニー、ブーズ・アレン・ハミルトンなどの外部のコンサルタティング会社を入れて、6カ月間ぐらい会社の隅々まで検証させ、コンサルタントと経営陣で新たな解決策を策定する方法です。2番目は新しい経営者が自分の遣り方を社員たちに命じてしっかりと実行させる方法です。そして3つ目のアプローチとしては、従業員を巻き込むというやり方です。

私たちはこの3つ目のアプローチをとりました。私はすぐに「クロス・ファンクショナル・チーム」を立ち上げました。「クロス・ファンクショナル・チーム」を設置し会社を改革していくという手法はそれほど目新しいものではなく、日本では日産自動車を再建するためにカルロス・ゴーンさんが使っています。私は10ぐらいのテーマを設けて、それぞれのチームをつくりました。チームは10人ぐらいで構成され、人事、マーケティング、営業などさまざまな部署から集めました。従業員のグレードも入り口のゲートでチケットを販売しているものから、各部門のマネージャー層までの社員を集めて、最初の3カ月で提案をさせ、次の3カ月でその提案を実行させました。このプロセスの実行は非常にスピードが要求されるものでした。

■非協力的な社員が多数いたということですが、そうした社員に対してはどのような対応をとられたのですか。

ガンペル 会社の中には私たちが目指す方向と一致しない、そうした考え方を変えようともしない社員がいることがわかりました。さらにこれも「クロス・ファンクショナル・チーム」の報告から明らかになったことですが、会社のコスト構造も1100万人の来場者があった開業当初とほとんど変わっていなかったのです。

普通の会社というのは営業の規模が大きくなるのにともなって、人やインフラも充実していくものですが、ここは最初から膨大なインフラを持ち、何千人もの従業員を抱え営業していました。そのため設備面でも機能の面でも、あるいは抱えている人材の面でも間違っていた部分があったと思います。だからこれから目指すべき方向に合わない社員、変われない社員のために希望退職を募りました。もちろん退職希望者には十分配慮し、有利な退職条件を提示しました。

一方で、年功序列制度を廃止し、ボーナスの支払方法も単純に1年間の報酬として夏冬2回決まった額を支払うのではなく、実績に連動した形でボーナスを支給するようにしました。資本構成の変更に連動しまして、社員にはストックオプションを供与しました。全社員にストックオプションを与える会社というのは日本ではめずらしいのではないかと思います。

後編は8/8(金)公開予定です。

松崎 隆司(まつざき・たかし)

経済ジャーナリスト

中央大学法学部を卒業後、経済誌の出版社に入社。経済誌の記者やM&A専門誌の編集長などを経て1999年独立。経営論から人事、M&Aなど経済全般について取材を進めている。

主な著書
「会社破綻の現場」(講談社)
「闘う経営者」(実業之日本社)
「商売のしくみとしきたり」(日本実業出版社)
「教養として知っておきたい『昭和』の名経営者」(三笠書房)

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