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■下部構造を担っている人たちは、大丈夫なんですか。

冨山 そこも傷んではいますけど、それでも日本の人材水準は高いと思いますね。明確な事業目標さえ設定されれば、改善的努力を地道に積み重ねながら進んでいく能力は優れていますから。やはり深刻なのは上部構造です。その適性の有無にかかわりなく、無難な人材がマネージャーに昇格していくシステムも含めて、生産性が低くて無駄が多い。

江戸末期の幕府の役人に、有能な人材がいなかったのと同じですよ。いいお家柄で、学業成績も優秀な人たちが多かったにもかかわらず、有事に際してリーダーたる人材が育っていなかった。だから薩摩や長州勢力に対して、勝海舟なんていう下級武士を担ぎ出さざるを得なかったわけでしょう。幕藩体制というシステムに問題があったせいで、人材が劣化していたからです。

幕末も現在も、時代の転換期には保守本流に人材がいない。社会のリーダーたる人材を、どういうところから選抜するのか、どう鍛えるのか。そこをもう一度考え直すことが、喫緊の課題なんですよ。

次回は、冨山氏が何を感じながら、どう企業再生に取り組んでいったのか、実例を交えながら聞く。4月25日に公開予定です。

■冨山 和彦(とやま かずひこ)氏のプロフィール

1984年 司法試験合格
1985年 東京大学法学部を卒業。ボストンコンサルティンググループ入社
1986年 株式会社コーポレイトディレクション設立に携わる
1992年 スタンフォード大学経営学修士及び公共経営過程終了
2001年 株式会社コーポレイトディレクション代表取締役就任
2003年4月から2007年3月にかけ、株式会社産業再生機構代表取締役専務(COO)
2007年4月 株式会社経営共創基盤を設立
現在、郵政民営化委員会委員、経済財政諮問会議、資産債務改革実行等専門調査会委員を務める。

荒川 龍(あらかわ・りゅう)

1963年、大阪府生まれ。国立大学在学中に韓国・延世大学韓国語学堂に1年間語学留学。

大学卒業後、週刊誌記者をへてフリーに。人物ルポを中心に、経済・社会問題を中心に取材している。著書に『「引きこもり」から「社会」へ』(学陽書房)、『レンタルお姉さん』(東洋経済新報社。2007年1月に放映された、水野美紀主演のNHK土曜ドラマ『スロースタート』の原案となる)。

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