制度整っても現実に使えるか疑問〜派遣労働ネットワーク 山崎 富美子氏(2)
(聞き手:長田 美穂=フリーライター)
(前回記事はこちら)
■法改正の利点もあるのでは。2000年12月に解禁された「紹介予定派遣」が普及して正社員への道も開かれてきたと聞きます。
山崎 厚生労働省の調査を見ると、紹介予定派遣はたしかに増えている。04年に紹介予定派遣の履歴書取り寄せや事前面接が解禁になったことも、影響しているのだろう。ただし相談では、採用が決まったといっても契約社員としてだったり、試用期間を設けられたりするケースは多い。それに40歳以上の人が紹介予定派遣で正社員になったという話は、あまり聞かない。世代はかなり絞られているという印象がある。

派遣労働ネットワーク 山崎 富美子氏
「派遣社員に、自分の権利を守ってほしい」
また問題視しているのは、新卒派遣の増加だ。新卒派遣とは、文字通り新卒を派遣社員で採用するということ。社員として人を雇い入れるより、企業の負担は少ない。というのも、社員として雇うと、最初の半年は試用期間だとしても、解雇するには解雇予告手当を支払う義務が生じる。地位確認を請求する訴えを起こされるリスクもあり、よほど合理的な理由がない限り、そう簡単に試用期間中に解雇はできないと考えていい。
かたや紹介派遣は、6カ月の間に採用の可否を派遣先企業は決定すればよいのだ。極端な話、6カ月目の前日に、紹介予定派遣のスタッフに「採用しない」と申し渡せば済む。
■では近年の法改正では、派遣社員にとってのメリットはなかった?
山崎 法と現実とのギャップが大きすぎる。法改正での利点といえば、05年に育児・介護休業法が改正され、制度上は派遣社員でも育児休業が取れるようになった。ただし条件が、「1年以上同じ会社で仕事をしており、さらに子供が1歳を超えてからも雇用される予定の人」となっている。派遣社員の契約は、3カ月、場合によっては1カ月ごとの更新の積み重ねなので、企業は「あなたは子供が1歳を超えてからも雇用される予定ではない」と言ってしまえば、それで済む話。制度は整っても現実に使えるかといえば、別だ。
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