■では、登録料の1万円の意味は?
丸山 レコード会社は今売れるものを作ろうとする。でも、それじゃ物足りないという人が、いつの時代にもいる。そういうクリエーターたちはインディーズに走るしかない。mF247がターゲットにするのはそういう人たち。
ただ、インディーズにもいろいろある。
日曜日ごとに友達と演奏しているだけでいい、という人もいるでしょう。ですが、mF247でターゲットにしたいのは、売れる、売れないとは別に「音楽で飯を食いたい」という人。
プロになるという明確な意志を持っている人だったらいいんですよ。そこを見分けるために、1万円の登録料を設定している。
ただ、誤解されたくないのは、これは審査料じゃないからね。審査を通ったら、あとは登録料を払っていただければ、mF247をメディアとして使えますよ、ということ。
登録前にお金をもらう、すなわち審査料を取る仕組みだったら、それはすごく儲かるよ。でも、そういうビジネスを知っているだけに、それに近いことはしたくない。
■音楽で飯を食う、ということの目安をお聞きしたいと思います。例えばインディーズでは、5000枚を越えればヒット、と聞きます。では従来型の、いわゆる「メジャー」で食べていこうとしたら、何枚くらい売れないといけないんでしょうね。
丸山 メジャーは、気分としては、全部契約するアーティストを全員20万枚以上とか、30万枚以上と考えているんじゃない。
■30万枚ですか。
丸山 今日現在、30万枚売れる可能性がある、という人たちと契約をするわけ。
■30万枚を売るために、メジャーなレコード会社はどういうことをしているんですか。
丸山 大前提として、今の日本では、ミュージシャンはプロダクションに所属しているよね。ミュージシャンがいて、その母親がプロダクションで、父親に当たるのがレコード会社。ミュージシャンは毎日、母親とは一緒なんですよ。父親はというと、時々自分の都合に合わせて帰ってくる。
父親は年に1回レコードが出る時だけ家に来るんです。レコーディングが始まって、いよいよ発売が決まると、発売の1カ月ぐらい前から、発売後1カ月ぐらいまでの間レコード会社との接触頻度が増える。年間で言うと濃密な関係は2カ月ぐらいですよ。
発売が終わると、レコード会社の興味は次のアーティストに移っている。
■アーティストの側から見ると、浮気っぽいお父さんなのか(笑)
丸山 CDが30万枚売れる、という時は、スタッフは最低は5人は付かないと回らなくなる。音楽ビジネスの場合には、ちょっとでも売れ始めたら、ライブで楽器を運んで積み下ろしをやるというところから、どんどん人手がかかる。
■売れたら、スケジュールが詰まってくるわけですからね。
丸山 自分で積み下ろしをやり始めると、化粧をしている暇がない、髪を立てている暇がない。汗をかくと髪の立っているのが倒れるんですよ(笑)。どうしても人手がいる。その上テレビ局に番組に出てくれと言われたら、たった2〜3分なのに、朝早くから行って、終わってからプロデューサーに言われて一緒に飲みに行かなきゃいけない、とかってあるわけじゃないですか。そうするとあっという間に5人ぐらいはいないと回らなくなっちゃう。
(聞き手:日経ビジネスEXPRESS 山中 浩之、構成:深川 岳志=フリーライター、写真:大槻 純一)
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