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(取材・文=梶山 寿子)

「プロダクションI.Gの財産は世界に誇れる人材です」

I.Gの会社案内に書かれた、社長・石川光久からの「ごあいさつ」の一節だ。

だが、「それを言葉通りに受け取ってほしくない」と石川は言う。

人材は大事だが、いい作品を作るには「まず仕事ありき」という発想が重要だというのだ。

「利益が先か基盤が先かといえば、利益が先。利益がなければ、次のプロジェクトも新たなチャンスもないからね。人のことをいちばんに考えているようで、やっぱり違うんだよ」

ところが、社員にさえ、「石川社長は、何よりも人づくり、基盤作りを優先している」と誤解する人がいると石川は嘆く。特に社外では、「クリエーターを守る経営者」というイメージが先行しているらしい。

石川が力を込めて言う。

「ものを作る集団をまとめるベクトルと、作品を売るビジネスのベクトルは明らかに違う。それに、クリエーターが作りたいものだけを作らせていたら、利益の出るものはできないんだよ」

テレビシリーズを任せて育てる

わがままなアニメーターを巧みにマネジメントする一方、自分の後進となるプロデューサーの育成にも力を注いできた。

最近になってテレビシリーズを多数制作しているのも、プロデューサー育成という側面もあるようだ。わざと制作ラインを増やして、どんどん若手を抜擢し、互いに競わせる中で経験を積ませるのである。

石川は言う。

「世間では有能なプロデューサーが不足してるっていうけど、それはチャンスを与えていないだけじゃないかな。信用して任せると、そいつがすごくがんばるじゃない。で、自分はそれを後押しして、何か問題が起こったときには檄(げき)を飛ばす。そこに徹しているから回転がよくなるんだよ」

石川流部下の育成法は、仕事を任せるとき、チャンスと権限と報酬だけではなく、失敗したときのリスクも同時に渡すこと。

その緊張感があるからこそ、人が成長するのだ。

たとえば、契約社員の報酬は、給料に加え、ビデオやDVDの売り上げに応じた印税も入る仕組みになっている。つまり、作品がヒットすれば莫大な収入が得られるが、そうでなければ最低限の収入しかない。チャンスは与えるから、あとは自分で成功をつかめ、ということだ。

next: 年収250万円だった制作進行が…

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