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「能力は集めるもの」と石川が言うゆえんである。

「会社の外で人に会って、『こんな人がうちの会社に来てくれたらいいなあ』と思うと、不思議とむこうから『I.Gに入れてほしい』って言ってくる。ほんと不思議だね。もちろん押井さんの作品が好きだから、押井さんと仕事がしたいからI.Gに来たいという人もいるかもしれない。でも、それだと長続きしないし、プロとしての仕事はできないんだよ」

そう石川は語る。

「ひまわりより紫陽花の花を咲かせたい」

そんな多様な個性が集う組織だから、「大輪のひまわりを育てるよりも、美しい紫陽花(あじさい)の花を咲かせたい」と石川は話す。

紫陽花の花の一つひとつは地味で小さい。よく見ると色もそれぞれ違う。だが、小さな花が集まった一つの集合体としてとらえたとき、その花はとても大きく美しく、また力強く見えるのだ。

プロダクションI.Gという会社は、石川が丹精込めて育てた紫陽花の花なのである。

賞を総なめしたり、カンヌに行ったりと、世間からちやほやされても、浮ついたそぶりも見せず、相変わらずコツコツと仕事を続ける職人集団。プロダクションI.Gの社風は、石川のキャラクターそのものだ。

しかも、創業期の精神が生きていると、押井監督は言う。

「創成期の心意気や現場の人の結びつきがどこまで維持できるかで、そのスタジオの運命が決まる。会社がでかくなって、社長が外車乗り回して接待なんかはじめちゃうと、人はさめるんですよ。経営が傾く前にまず作るもののクオリティーが下がる。I.Gでそれがはじまっていないのは、石川の人となりが支えているから。アニメ会社って、経営者のキャラクターで決まるんですよ」

※本文敬称略

梶山 寿子

神戸大学文学部卒業。テレビ局勤務を経て、ニューヨーク大学大学院に留学し、メディア環境学を専攻。92年修士号取得。読売新聞米国現地版で記者として勤務した後、フリーになり、日米で取材、執筆を続ける。98年に帰国、社会・家族問題、ビジネス・トレンド、人物ノンフィクションを中心に、幅広い分野で執筆。TVコメンテイターとしても活動中。特に近年はアニメーションをはじめとするコンテンツ・ビジネスの取材に力を入れている。主著に、スタジオジブリのビジネスを追った『ジブリマジック』(講談社)、『家族が壊れてゆく』(中央公論新社)、『子どもをいじめるな』(文春新書)など。

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