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社名変更で「タツノコの名前はなくても大丈夫」、社員に励まされる

当時も今も、タツノコのブランドや権利には興味はない──そう石川は繰り返す。

タツノコの創業者一族の親族となり、タツノコの名を冠した会社を設立したのは事実である。だが、「タツノコの名前に寄りかからなかったことだけは言いたい。もしタツノコの名前に頼っていたら、今のI.Gはなかった」と語気を強めるのだ。

実は、会社設立に際して、タツノコ側との確執がまったくなかったわけではないらしい。

「育ててもらった恩義もある。だから今まで封印してきた。そうやって虐げられたことが血肉となって今があるんだし…」と、石川はあまり多くを語らないのである。

その後、93年9月には「有限会社プロダクションI.G」と社名変更し、名実ともにタツノコから離れている。これはタツノコからの申し入れに従ったもの。社名から「タツノコ」をはずしてほしいと言われたのだ。

そのとき励みになったのは社員の反応だ。

「『社長、もうタツノコの名前はなくても大丈夫ですよ!』とすんなり受け入れてくれた。涙が出るほどうれしかった。この会社は行ける、と確信したんだよ」

時はめぐり、2005年7月、タツノコは玩具会社大手のタカラに買収され、創業者一族は同社の経営から退いた。

ひとつの時代が終わったのである。

※本文敬称略

梶山 寿子

神戸大学文学部卒業。テレビ局勤務を経て、ニューヨーク大学大学院に留学し、メディア環境学を専攻。92年修士号取得。読売新聞米国現地版で記者として勤務した後、フリーになり、日米で取材、執筆を続ける。98年に帰国、社会・家族問題、ビジネス・トレンド、人物ノンフィクションを中心に、幅広い分野で執筆。TVコメンテイターとしても活動中。特に近年はアニメーションをはじめとするコンテンツ・ビジネスの取材に力を入れている。主著に、スタジオジブリのビジネスを追った『ジブリマジック』(講談社)、『家族が壊れてゆく』(中央公論新社)、『子どもをいじめるな』(文春新書)など。

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