アニメーターに高給を支払った最初の経営者
(取材・文=梶山 寿子)
石川光久の人となりや経営哲学は、農業を営んできた両親や兄の影響を大きく受けているらしい。
例えば、「雑草のように生きたい」と石川は言う。
踏まれても踏まれても大地に根を張り、しぶとく生き抜く。そのひたむきな姿勢が好きだという。畑で額に汗して真摯(しんし)に働く父親や兄の姿が「雑草」に重なるからだ。
石川が続ける。
「世の中って、すぐに浮かれちゃうじゃない。でも、自分はひたむきに生きる人間が好き。ひたむきに一生懸命に働く人の姿は美しいって、子どものころから思っていたし…。アニメーションの現場で働いている人もみんなひたむきなんだよ。純粋で無垢(むく)でコツコツ仕事をしている。こういう人に囲まれて働く環境が最高にいいなあって思う。すごく楽しいし、救われる。石川の場合、アニメーションが好きというより、アニメーションを作っている人間が好きなんだよ」
どうやら、このあたりに石川光久という人物を知る鍵が隠されているらしい。
「アニメーションって生っぽい仕事なんだよね。手描きからCGになっても、やっぱり生っぽい…人間だらけっていうか。人が面白いから、アニメ業界が好きなんだろうね」
はやくて、うまいアニメーターには高給を支払う
アニメーションの制作現場といえば、長時間労働で賃金が安いというイメージがある。ある調査では、アニメーターの平均年収は247万円だとか。いちばん下っ端の見習いなら月収は5万円だというから、まさに好きでなければ勤まらない仕事である。
だからこそ、石川はアニメーターに尊敬の念を払う。質の高いアニメーターがいるからこそ、押井作品のような名作が生まれるのだと。
「アニメーターは役者と同じ。働きによって収入に差があるのは当然だから、I.Gで仕事をしてもらっているアニメーターには年収が1000万円を超える人もたくさんいる。速く、うまく描ける人には正当な評価をして、きちんと給料を払いたいんだよ」
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