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『イノセンス』カンヌ栄冠の夢破れて

2005年10月20日

(取材・文=梶山 寿子)

「プロダクションI.G」の社名が多くの人に知られるようになったきっかけは、2004年に劇場公開された『イノセンス』だろう。

準備に5年、制作に3年、総製作費20億円あまりをつぎ込んだモンスター・プロジェクト。「プロダクションI.G」が、掛け値なしに“社運を賭けて”取り組んだ作品である。

『イノセンス』記者会見にて。左から2人目が石川光久社長。中央は押井守監督。左端はスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサー

苦労の末に生まれた最高傑作『イノセンス』

プロデューサーとして、「プロダクションI.G」の社長として、石川光久が『イノセンス』に込めた思いはひとことでは語り尽くせない。

圧倒的なクオリティー。緻密にして斬新な映像美。実写と見まがうほどのCG技術…。それは気が遠くなるような細かい作業の積み重ねでしか生まれない。寝食を忘れ、家族に愛想を尽かされながらも制作に打ち込んだスタッフ全員の努力の結晶である。

東京・六本木ヒルズで開かれた『イノセンス』の完成披露試写会でのこと。

「こんなに苦労した作品はない。完成にこぎつけたのが奇跡のよう。これ以上のクオリティーのものは今の自分にはできない」

押井守監督がしみじみと語る。

映画館のいちばん後ろの席で舞台挨拶(あいさつ)を見守っていた石川も、にじむ涙を隠せない。

「みんなよくここまで耐えて…本当によくやってくれた」

next: 作品には…

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