“世界の押井”が認めたただ一人の男
(取材・文=梶山 寿子)
「初対面の印象は、ただのばかにしか見えない(笑)。それはいまだに変わんないね。プロダクション I.Gの社長という肩書きをはずして会えば、ただのトッポいヤツにしか見えないし。でも、相手を警戒させないから、得してると思いますよ」
押井守監督はそう言って笑う。

『イノセンス』のガブリエルが寄り添う石川光久社長(I.Gのオフィスにて)
『機動警察パトレイバー』『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』『イノセンス』など、独特な世界観の作品で、世界中にカルト的なファンを持つ押井守監督。その押井監督が「アニメーションをやる限り、組む相手は石川以外に考えられない」と断言してはばからない。プロデューサーとしての石川光久に全幅の信頼を寄せているのだ。
押井監督と石川のつき合いは古い。
共に竜の子プロダクション出身だが、石川は押井監督が辞めた後に入社している。接点ができたのは、石川が独立して最初に手がけたテレビシリーズ『赤い光弾ジリオン』(1987年)の絵コンテの一部を、押井監督が手伝ってからである。
押井監督は、当時から石川が率いるスタジオの力量に着目していたという。
ハリウッド相手でもひるまないタフな交渉力
アニメーション作品のプロデューサーには、さまざまな能力が必要とされる。企画力、現場をまとめる力、生産管理能力、資金調達力、そしてライセンスに関する知識など。
特に、海外とのビジネスでは、ハリウッド相手でもひるまないタフな交渉力が求められる。宮崎駿監督を支えるスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーやI.Gの石川は、それらを備えた稀有(けう)な存在なのだ。
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