『キル・ビル』のパートナーに世界が注目
(取材・文=梶山 寿子)
2003年秋。場所は帝国ホテル。
『パルプ・フィクション』で知られるクエンティン・タランティーノ監督の5年ぶりの新作『キル・ビル vol.1』の記者会見が行われていた。主演のユマ・サーマンやルーシー・リューといったハリウッドスター目当てに、会場には入りきれないほどの報道陣がひしめく。

『キル・ビル vol.1』の公開に合わせて行われた記者発表会にて。クエンティン・タランティーノ監督(左から4人目)、主演俳優たちと共に壇上に並ぶ石川光久・プロダクションI.G社長(右から2人目)
写真:萩原美寛
すさまじいストロボの放列に、ひな壇に並んだスターたちが完璧な笑顔を向ける。終始ゴキゲンのタランティーノ監督の両脇にはルーシーと栗山千明、そして神々しいオーラを放つ真紅のドレスのユマ。
その壇上に、仏頂面で突っ立っている日本人男性が一人。タートルネックのセーターにチェックのシャツというカジュアルな服装で、慣れないストロボの洪水に目を細めるこの男が、アニメ会社「プロダクションI.G」の社長、石川光久である。
1987年、29歳のとき老舗の「竜の子プロダクション」から独立して同社を設立。映画『機動警察パトレイバー』や『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(共に監督・押井守)といった話題作を手がけてきた。同社の作品は、高い技術力とエッジの効いた作風で、国内外に熱狂的なファンが多い。
オープニング・クレジットで破格の待遇
それにしても、役者でも監督でもない彼が、なぜ壇上にいるのか。
有り体に言えば、彼の会社が『キル・ビル vol.1』(「vol.2」にはアニメシーンはないので以下『キル・ビル』)の中のアニメ・パートを制作したため。そこにはタランティーノ監督の思い入れが見て取れる。
ヤクザ映画やカンフー映画のファンとしてつとに有名なタランティーノ監督は、知る人ぞ知るアニメ・オタクでもある。I.G作品では特に『攻殻機動隊』や『BLOOD THE LAST VAMPIRE』がお気に入りだという。
next: 日本ではさほどヒットしなかった『攻殻機動隊』も…
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